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こうのとり5号、安定した実績を積み重ねたい


 国際宇宙ステーション(ISS)への物資を輸送する日本の宇宙船「こうのとり」(HTV)5号の打ち上げが成功した。米露で輸送機打ち上げが相次いで失敗する中、今回も見事な打ち上げを披露した。

 24日にはISSに接近し、先月から長期滞在している宇宙飛行士の油井亀美也さんがキャッチする。宇宙での日本の安定した実績に、世界の期待が一段と高まっている。

 緊急の輸送要請に対処

 こうのとり5号を搭載したH2Bロケットは、2009年の初号機から今回で5機連続の打ち上げ成功である。4号機からは三菱重工業が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から委託され行っている。

 打ち上げは当初16日に予定されていたものの、発射場付近で雷の可能性があったため2回延期されていた。暗闇の中、轟音を響かせながら夜空を昇って行くまばゆい光は美しく見事であった。

 日本はISS計画の参加費用を、こうのとりでの輸送サービスで代替し国際的な責任を果たしているが、今回は特に各国の期待が高かった。昨年秋からの物資補給で、米露の宇宙船が打ち上げに相次いで失敗していたからである。

 ISSへの物資補給は現在、わが国のこうのとりと米国の「ドラゴン」(スペースX社)、「シグナス」(オービタル・サイエンシズ社)、ロシアの「プログレス」の四つの無人補給機が担当している。

 ところが、昨年10月にシグナスは打ち上げロケットが爆発。今年4月にプログレス、6月にはドラゴンも相次いで打ち上げに失敗し、物資の補給や機器の交換、実験計画の遂行などに影響が出ていたのである。

 こうのとり5号が今回届ける物資は、水や食料、実験装置など約5・5㌧。宇宙の質量の約4分の1を占めるとされる正体不明の「暗黒物質」の発見を目指す観測装置や、重力の影響による加齢現象を研究するためのマウスを飼育する装置のほか、米国からドラゴンで届ける予定だった水再生装置のポンプなど約210㌔の貨物もある。

 JAXAによると、貨物は打ち上げ4カ月前までに搭載するのが原則で、直前の積み替えや追加は限られる。しかし以前から、搭載手順の改善や棚の隙間の活用など細かな工夫を積み重ねてきたこともあり、7月にあった米国からの先述の物資輸送の要請にも応えることができたという。

 こうのとりは他の補給船と比べても最大級の6㌧の輸送能力があり、ISSの外に取り付ける大型実験装置も輸送できる。これまでの安定した実績に加え、今回緊急の要請にも柔軟に対処できたことは各国の賞賛の的であり、国際舞台での一段の交渉力強化につながるものだ。

 さらなる活躍を期待

 ISS参加国は20年までの運用延長で既に合意し、わが国はこうのとりを9号機まで打ち上げる計画である。米国はさらに24年までの延長を表明している。コスト半減を目指した改良計画もあり、内外の注目を集めるこうのとりのさらなる活躍を期待したい。

(8月22日付社説)