世界日報 Web版

日本は温暖化対策で指導力を回復せよ


 地球温暖化対策を話し合うため、ペルーの首都リマで開かれていた国連気候変動枠組み条約第20回締約国会議(COP20)が、合意文書を採択し閉幕した。2020年以降の温室効果ガス削減目標に盛り込む項目について合意したものの、実効性のある温暖化対策の枠組みへの展望が開かれたとは言えない。

 米中の積極姿勢に疑問符

 今回も先進国と途上国が鋭く対立した。目標に盛り込む項目をめぐって、先進国は排出削減に絞ろうとし、途上国は被害軽減策や資金支援を加えることを主張した。結局、削減を中心に位置付け、被害軽減策は各国の判断で含めることも含めないこともできる形に落ち着き、資金支援は項目に盛り込まないことになった。

 温暖化対策の中心は排出削減だから妥当な決着と言える。しかし、削減の達成期間や根拠を示すことは決められたが、各国の目標の妥当性を検証する仕組みづくりは、中国など途上国の反対で見送られた。実効性の面で大きな懸念材料である。

 オバマ米大統領と中国の習近平国家主席は先月、温室ガス排出削減で合意した。排出量世界一の中国と2位の米国、しかも京都議定書にも参加しなかった両国が、削減に転じたことは大きな前進とみられた。

 しかし、中国の目標は30年ごろをピークに排出量を減らすというもので、今後16年間は増やせるという内容だ。目標の妥当性検証の仕組みづくりに反対したのも、自国の目標が適切でないとされることを恐れたためだろう。軍事その他では大国として振る舞うことに熱心だが、地球の未来に対し責任を果たそうという姿勢は見られない。

 温暖化対策は待ったなしである。COP20でも、海面の上昇で存亡の危機に立たされる南太平洋の島嶼国代表の切実な主張が相次いだ。キリバスのバーロ国連常駐代表は「われわれには時間がない」と訴えた。

 オバマ米大統領は25年までに排出量を05年比で26~28%削減するという目標を掲げた。しかし上下両院で共和党が多数派となり、達成が難しくなる可能性も小さくない。米中の削減が妥当なレベルで実現されねば、温暖化の進行を防ぐことは難しい。この両国の取り組みを促すためにも、日本はかつてのように温暖化対策でリーダーシップを発揮できるようにならなければならない。

 しかし、今回の会議でも日本は、原発再稼働の見通しが立たないために、削減目標については「できるだけ早期の提出を目指す」(望月義夫環境相)と述べるにとどまった。望月環境相と会談した英国のデービー・エネルギー気候変動相は「野心的な削減目標を出してほしい」と求めたという。日本が世界5位の排出国であるとともに、その態度が米中その他の国にも影響を与えると考えるからだろう。

 野心的目標の早期提示を

 できるだけ早く、原発を再稼働させ、野心的かつ達成可能な削減目標をわが国は提示すべきである。東日本大震災を越えて、地球の未来のために温室ガス削減に取り組む姿勢を示せれば、他の国々にも変化を迫ることになるはずだ。

(12月18日付社説)