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御嶽山噴火、火山観測体制の強化が急務だ


 長野、岐阜県境にある御嶽山(3067㍍)の噴火による死者は48人となり、火山災害では1991年6月に43人が死亡・行方不明になった雲仙・普賢岳の火砕流を超え、戦後最悪となった。

 紅葉シーズンで被害拡大

 現場は火山ガス濃度が高く、火山性微動の振幅の増大などもあって救助、捜索活動は難航した。1日早朝に再開された捜索では、自衛隊のヘリコプターが救助隊員を乗せて山頂に向かい、心肺停止状態の登山者たちが麓に搬送された。

 山頂付近ではまだ見つかっていない登山者がいる可能性があり、きょうも長野県警と自衛隊が中心となって捜索活動が続けられる。2次被害のないよう十分警戒を要する。

 火山噴火予知連絡会の発表では、今回の噴火は水蒸気爆発で火砕流も発生しており「今後も火砕流を伴う噴火は起こりうる」と警戒を呼びかけている。マグマの噴出を伴わなかったのは不幸中の幸いだった。

 御嶽山は東日本火山帯の西端に位置する複合成層火山。標高3000㍍を越える高峰だが、比較的登りやすく、紅葉シーズンの9月下旬から10月初旬にかけては一日数千人が入山するという。週末の昼時に噴火が起きたことが被害を大きくした。噴火は2007年3月の小規模噴火以来だが、この時は人的被害はなかった。地元の防災対策にぬかりはなかったか。

 火山列島のわが国には110の活火山があり、そのうち47の火山では24時間体制で観測が行われている。御嶽山もその一つだ。9月初旬から火山性地震が続いていたが、噴火するまで「平常」とされる警戒レベル1のままだった。

 天気の変化については予想天気図が描かれ、これに基づいて天気予報が出される。しかし、火山の噴火については具体的で詳細な予測を得られるだけの観測データが整っていないのが現状だ。

 火山噴火の予知、予測では、火山性微動の観測に加え地下のマグマの動きを見なければならない。マグマの質量や温度、その変化の情報が必要だが、地表からの測定だけでは十分でないという意見もある。

 今後、噴火予知、予測の確度を高めるには、観測データの積み重ねと、研究者の経験に裏打ちされた分析が必要になってこよう。

 観測データによって予知が成功した例に、00年3月31日に噴火が起きた北海道の有珠山がある。同28日から地震が頻発し始め、北大有珠火山観測所の助言で麓の住民が全員避難した。有珠山はそれまでも繰り返し噴火しそのデータが豊富だったこともあるが、観測者のたゆみない努力の成果だった。

 学者と自治体は連携を

 火山予知は地震予知とともに、わが国の重要な研究テーマの一つであり、各所で観測体制の強化が急がれる。

 御嶽山は近年のハイキングブームの中でも人気のコースだ。そのロケーションなどをよく勘案し、火山学者だけでなく自治体、防災関係者が大きなグループとなって防災対策に取り組むべきだ。

(10月2日付社説)