世界日報 Web版

【社説】新駐日米大使 同盟深化への尽力に期待


米上院がエマニュエル駐日大使承認、近く着任へ

ラーム・エマニュエル新駐日大使

 2年以上にわたって空席が続いた駐日米大使に、ラーム・エマニュエル氏が近く着任する。

 議会での人脈が広く、バイデン米大統領とも直接話ができるエマニュエル氏の大使就任は、日米関係の強化に大きく寄与しよう。

 2プラス2にも出席

 エマニュエル氏は民主党の下院議員を3期務め、2009年に発足したオバマ政権では、政権運営の要となる大統領首席補佐官に就任。当時副大統領だったバイデン氏の信頼を得たとされる。豪腕で知られ、シカゴ市長当時の警察官による黒人少年射殺事件への対応で強い非難を浴びたが、上院の承認手続きでは共和党議員で前駐日大使のハガティ氏が強く推すなど野党側からも支持を集めた。

 駐日米大使はハガティ氏が上院選出馬のため辞任して以来、2年以上にわたって空席となっていた。バイデン政権は「唯一最大の競争相手」と位置付ける中国に対抗していく上で、同盟国である日本との関係を重視しており、エマニュエル氏は重責を担うことになる。

 エマニュエル氏は昨年10月に開かれた上院外交委員会の承認公聴会で、中国が覇権主義的な行動を強める中、日米同盟の深化が「最優先課題」だと強調。経済安全保障を重視する考えも示し、半導体や医薬品のサプライチェーン(供給網)見直しや、インフラ投資面での日米協力に期待を示した。

 バイデン氏は一連の大使人事で、駐オーストラリア大使に故ケネディ元大統領の長女キャロライン・ケネディ氏、駐印大使にロサンゼルス市長のエリック・ガルセッティ氏を指名した。両氏とも政権との距離が近く、日米豪印4カ国の連携枠組み「クアッド」の強化を目指す狙いだろう。

 民主主義陣営が対中包囲網を構築する上で日米の連携強化は不可欠だ。エマニュエル氏の尽力に期待したい。

 エマニュエル氏はテレビ会議方式での日米外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)にも出席。日本は敵基地攻撃能力の保有を念頭に「あらゆる選択肢を検討する」と米側に伝えた。中国や北朝鮮の脅威増大に対処するため、米軍が「矛」(攻撃)、自衛隊が「盾」(防衛)を担うという従来の構図を見直す必要がある。

 2プラス2の成果文書「共同発表」は、中国が一方的に領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島に米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条を適用することを明記した。ただ尖閣防衛も米国任せではなく、公務員常駐などの実効支配強化策や、平時でも有事でもない「グレーゾーン事態」に対処するための法整備を進めるべきだ。

 橋渡し役として活躍を

 共同発表は、中国の新疆ウイグル自治区や香港の人権問題も問題視し、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調。地域の安定を損なう中国の行動を抑止して「必要であれば対処するために協力する」ことも盛り込んだ。

 日本が平和維持のために同盟における役割拡大を進めていけるよう、エマニュエル氏には米国との橋渡し役として活躍してほしい。