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日英共同訓練、自由海洋国家の連携強化を


 陸海空自衛隊が沖縄南方海上で最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を中心とする英国の空母打撃群や米軍、オランダ軍と共同訓練を実施した。「ノーブル・ユニオン」と名付けられた今回の訓練では、クイーン・エリザベスと海自のヘリコプター搭載護衛艦「いせ」、米海軍の強襲揚陸艦「アメリカ」との間で、互いの艦載機を他の艦艇に着艦させる訓練などが行われ、相互運用の技量向上が図られた。

インド太平洋を重視

海上自衛隊、ソマリア沖で英空母と初の共同訓練

11日、ソマリア沖アデン湾で英空母「クイーン・エリザベス」(奥)と海賊対処共同訓練を行う海上自衛隊の護衛艦「せとぎり」(手前)とP3C哨戒機(防衛省統合幕僚監部提供・時事)

 欧州連合(EU)から離脱した英国は、海洋国家としての伝統に回帰し、行動領域を拡大させる動きを見せている。3月にジョンソン政権が発表した外交・安全保障政策「統合レビュー」では、インド太平洋地域を重視する方針が示された。

 環太平洋連携協定(TPP11)への参加など経済の活性化やビジネス機会の獲得に加え、膨張を続ける中国を牽制(けんせい)するという狙いからだ。英国はクイーン・エリザベスをインド太平洋海域に派遣し、長期にわたって行動、展開させている。

 日本は米国、オーストラリア、インドと「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想の実現に取り組むとともに、英国との関係も強化し、外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の開催や共同訓練の実施、戦闘機エンジンの共同開発など安全保障協力を進めている。英国が事実上FOIPのメンバーとなることで、中国の海洋進出や膨張を抑える強力な枠組みを構築することができよう。

 今回の共同訓練もそうした目的に沿うものだが、アフガニスタンなど国際情勢が不安定化しているこの時期、日米英の強固な軍事連携を誇示し、中国の挑発的な動きを抑え込む重要な役割も果たしたと言える。中国はこれまで、米軍のプレゼンスがアジアから後退し、あるいは米国が他の地域の問題対処に忙殺された時、周辺地域への膨張や侵略を重ねてきた。

 朝鮮戦争の休戦が実現し、翌年第1次インドシナ紛争も終結するや台湾を攻撃して大陳列島などを奪取した(第1次台湾海峡危機:1954年)。米国がレバノン派兵に踏み切ると台湾への砲撃を再開(第2次台湾海峡危機:58年)。パリ協定に基づき米軍がベトナムから撤退すると、すかさず南ベトナムを攻めて西沙諸島を奪った(74年)。

 アフガン問題への対応で、米国は当面、手一杯の状況が続くだろう。中国が台湾や沖縄県・尖閣諸島に攻勢を仕掛けてくる事態に備えねばならない。

 北京冬季五輪開催を控える習近平政権が現在、冒険的な行動に出る可能性は低いとはいえ、挑発や威嚇、相手側の警戒態勢に探りを入れるなど活動を活発化させることは間違いない。既に中国は「アフガンの次はお前たちだ」と台湾を威嚇。また東シナ海や琉球諸島に連日無人機を飛行させ、わが国の防空体制に揺さぶりをかけている。

中国の動きに警戒強めよ

 日本は東シナ海や南西諸島、さらには台湾海峡の警戒態勢を強めるとともに、日英、日米英、必要とあらば台湾も加えての共同訓練を重ね、自由や民主などの価値観を共有する海洋国家の連携強化に努める必要がある。