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東京五輪閉幕、世界に勇気と希望与えた


 17日間にわたる熱戦の幕が閉じた。新型コロナウイルスの世界的流行の中で開かれた東京五輪は、大きな混乱もなく大会を終えることができた。ほとんどの会場で無観客という異例の開催ではあったが、選手たちの素晴らしいパフォーマンスは、閉塞(へいそく)感の中にある世界の人々に大きな勇気と希望を与えた。

新型コロナ克服の証し

 開催への反対や疑問の声も強かった。しかし、4年に一度、世界のトップアスリートが集う特別なスポーツイベント、「平和の祭典」は、新型コロナと戦う時だからこそ開催の意義が増したのである。東日本大震災からの「復興五輪」に「人類が新型コロナを克服した証し」(菅義偉首相)という新たなテーマが加わった。

 わが国は五輪を見事に成し遂げた。開催国が日本だったからこそ、大会はできたという国際オリンピック委員会(IOC)委員の指摘もある。何より、わが国が責任を果たす国であることを示せた意味は大きい。

 新型コロナ蔓延(まんえん)を理由に開催を断念していたとすればどうなっていただろうか。感染急拡大の中、コロナとの戦いで手痛い敗北感が日本中を覆ったに違いない。過激な開催反対論者の狙いは当初からそこにあった。

 日本選手団は史上最多27個の金メダルを獲得し、メダル総数も史上最多の58個となった。3年後のパリ五輪へ向け若い世代の台頭も著しい。コロナ禍で迎えた2度目の夏、ややもすれば重苦しさや閉塞感に陥らないとも限らない時に、諦めないで最後まで全力を尽くす選手たちの戦いぶりがどれだけ勇気を与えてくれたことだろう。

 選手たちの活躍・奮闘の陰には多くの人々の支えがあった。多くの選手たちが試合後、大会スタッフへの感謝を語った。組織委員会やホストタウン、警備に当たった警察当局、ボランティアの人々など、逆風下にあっても大会を支えた全ての人々に感謝と敬意を表したい。

 今回は205の国・地域が参加した。その中で、ブルキナファソ、トルクメニスタンなどが初のメダルを、フィリピン、カタールなどが初めて金メダルを獲得した。メダルがそれぞれの国民にどれだけ大きな希望と勇気を与えるかは、かつて敗戦の痛手を受けた日本にメダリストがもたらした力を思えば、十分に想像できる。

 新型コロナの蔓延で東北の復興を十分にアピールできなかったのは残念だが、福島産の桃の素晴らしさがインターネット交流サイトで話題になっている。ソフトボール女子のオーストラリア代表が絶賛したのがきっかけだ。風評被害を払拭(ふっしょく)する大きな効果がある。

信用高める重要な成果

 五輪開催は本来、経済効果、海外からの観客の来日、文化発信や交流などさまざまな付随的効果が期待される。今回は十分な成果を上げることができなかったが、コロナ禍の中で無事開催し、史上最多のメダルを獲得したことで日本という国の底力を示すことができた。

 日本の国際的な信用にも関わる重要な成果を、経済の活性化、インバウンドの回復や文化発信につなげていきたい。