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サイバー攻撃、対中包囲網の構築を急げ


 米政府が日本や欧州連合(EU)など有志国とともに、中国政府が国家安全保障や経済にとって脅威となるサイバー攻撃を行っているとして非難する声明を発表した。

 中国のサイバー活動をめぐって、米国の同盟国が共通の見解を表明するのは今回が初めてとなる。サイバー分野でも、中国の攻撃を抑止する対中包囲網の構築を急ぐ必要がある。

身代金要求のケースも

 声明は中国の国家安全部門が契約ハッカーを使って世界中でサイバー攻撃を仕掛けていると暴露。最近では、米企業などを狙い、データをめぐって身代金を要求する「ランサムウエア」というウイルスによる攻撃や、仮想通貨の窃取を行っている。中には、数百万㌦(数億円)の身代金を要求されたケースもあるという。

 また、米マイクロソフトの企業向け電子メールソフトを狙ったサイバー攻撃でも、中国の関与を「強く確信する」と表明。さらに、中国のハッカー集団が米国などのネットワークを狙った50以上の手口を公開した。

 中国の無法な振る舞いを容認することはできない。サキ米大統領報道官は「公の発言だけでなく、実際に行動することになる」と述べ、制裁や対抗措置も辞さない姿勢を示して警告。米司法省は、米英など10カ国以上の企業や大学、政府機関にサイバー攻撃を仕掛け、情報を盗み出したとして、中国当局とのつながりのある中国人4人が、経済スパイなどの罪で起訴されたと発表した。

 声明には北大西洋条約機構(NATO)のほか、米国と機密情報を共有する枠組み「ファイブアイズ」構成国の英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドも参加。米政府高官は「どの一国だけでも中国の行動を変えることはできない」と述べ、同盟国やパートナーと協力する意義を強調した。日本も米国や他の民主主義国家と連携し、中国のサイバー攻撃を抑止する必要がある。

 今月初めの中国共産党創立100年の記念式典で、習近平党総書記(国家主席)は「台湾問題の解決と祖国の完全統一実現は党の歴史的任務だ」と述べ、台湾統一の実現に強い意欲を表明した。中国による台湾侵攻に警戒を強めなければならない。

 中国は台湾侵攻に関し、ロシアが2014年3月のウクライナ南部クリミア半島併合の際に実施した「ハイブリッド戦」を参考にしているとされる。ハイブリッド戦は軍事力と非軍事手段を混合したもので、ロシアは電子戦やサイバー攻撃を仕掛け、少ない兵力でウクライナ軍を短期間で圧倒した。台湾侵攻を防ぐためにも、民主主義陣営による中国のサイバー攻撃への対処が急がれる。

スパイ防止法の制定を

 日本政府は今月、次期サイバー戦略の原案を決定し、サイバー攻撃の脅威として中国、ロシア、北朝鮮を明記した。

 対処方法として、サイバー空間での防衛力強化や、攻撃への外交的非難や刑事訴追などの手段を講じることを挙げたが、悪質な事案にはスパイ罪を適用できるようスパイ防止法も制定すべきだ。