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日英防衛協力 対中共同訓練を本格化せよ


 海上自衛隊が英海軍の最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を中核とする空母打撃群(CSG21)と、アフリカ東部ソマリア沖アデン湾で共同訓練を実施した。

 自衛隊がクイーン・エリザベスと訓練するのは初めてのことである。

英空母打撃群が長期航海

 訓練には海自から護衛艦「せとぎり」とP3C哨戒機、英海軍からは空母の他にフリゲート艦2隻と補給艦2隻が参加。同行する米海軍の駆逐艦1隻とオランダ海軍のフリゲート艦1隻も加わり、洋上補給訓練などを行った。

 せとぎりとP3Cは、アデン湾で商船の護衛などの海賊対処行動を行うために派遣されている。同艦は5月には同海域でフランス空母「シャルル・ドゴール」とも訓練している。

 2月に行われた日英外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)では、自衛隊と共同訓練を実施する方針で一致した。3月に日本に着任した英国のロングボトム大使は、インド太平洋地域について安全保障のリスクが存在すると指摘。覇権主義的な動きを強める中国の存在を念頭に、長期的に関与していく考えを強調した。

 CSG21は5月下旬に英南部のポーツマス港を出発。出発前には、エリザベス女王がヘリコプターで空母に降り立ち、艦内を視察した。7カ月間にわたって地中海やインド洋、太平洋などを長期航海する。40カ国以上を訪問し、70回以上の演習をする予定で、日本にも寄港する。インド太平洋地域への関与を強める英政府の安全保障戦略の象徴とされる。

 英国は20年に欧州連合(EU)から離脱し、世界国家に返り咲くこと(グローバル・ブリテン)を目指している。ウォレス英国防相は、今回のCSG21派遣について「インド太平洋地域への関与及び国際秩序への脅威に対抗する決意を示すもの」と表明した。

 この地域でプレゼンスを高めたい英国の外交・防衛政策の一環であり、強引な海洋進出を進める中国を牽制(けんせい)することが狙いだ。英国は香港や英連邦の国々を通じ、インド太平洋地域とは長い歴史的関係がある。

 英国が本国から遠く離れたインド太平洋地域に足を延ばし、訓練を展開することは、中国と隣接する日本にとって極めて望ましいことだ。これを契機に、対中共同訓練を本格化させることが求められる。

 米中間の地政学的競争が激しさを増しているインド太平洋地域の安全保障をどうするかという課題が、欧州の同地域への関心を高めている。もっとも、中国を封じ込める色彩が強い米国の動向と軌を一にするほど露骨な対決色は出ていない。

 とはいえ、香港や新疆ウイグル、チベットなどの人権問題については、国際秩序や国家、地域の安全を損なうものとして、欧州の中国に対する批判が強まっている。

欧州との結束強化を

 日本としてもクイーン・エリザベスとの共同訓練、日本寄港を契機に、欧州との共同軍事訓練を加速し、結束強化を図るチャンスとしたい。