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羽生選手「金」、被災地に希望与えた快挙


 19歳が歴史的快挙を成し遂げた。ソチ冬季五輪のフィギュアスケート男子で羽生結弦選手が金メダルを獲得した。この種目で日本男子の金は史上初だ。惜しみない拍手を送りたい。

 10代選手の活躍目立つ

 羽生選手はショートプログラムで世界歴代最高点の101・45点を挙げ、フリーではジャンプのミスはあったが、世界選手権3連覇中のパトリック・チャン選手(カナダ)らを抑えて栄冠に輝いた。日本選手の冬季五輪での金は2006年トリノ五輪フィギュア女子の荒川静香選手以来で、10個目となる。

 仙台市の出身。被災地からの声援が大きな励ましとなったろう。「僕が金メダルを取ることで、被災地の方々、日本国民の方々が活気づいてくれたらうれしい」と語った。今回の快挙は被災地に大きな希望を与えたに違いない。

 何よりも羽生選手自身が被災者だ。東日本大震災当日は、リンクで練習中に揺れに見舞われ、知り合いの大学生に担がれて屋外に脱出したという。自宅が被災し、避難所生活も経験した。練習拠点は閉鎖され、各地を転々として練習し続けた。スケートを続けることも迷ったが、自分の滑りを励みにしてくれる人たちの存在が力となった。

 金メダルは、こうした逆境をはねのけて得られたものだ。フリーでは冒頭の4回転サルコーで転倒し、続く4回転トーループは完璧に決めたが、直後の3回転で手を着くなどミスを重ねた。それでも腐らずにベストを尽くして金メダルにつなげたことは強い精神力を感じさせる。「すごくうれしいのが半分。自分の中で悔しいと思うところが結構ある」と振り返ったのは、負けず嫌いの羽生選手らしい。

 羽生選手の快挙は、浅田真央選手らフィギュアの女子選手にも大きな刺激となったはずだ。ウインタースポーツに限らず、20年の東京五輪出場を目指す選手や子供たちにも勇気を与えたことだろう。羽生選手にはさらなる飛躍を期待したい。

 日本勢の中では今回、特に10代選手の活躍が目立つ。スノーボードの男子ハーフパイプでは15歳の平野歩夢選手が銀メダル、18歳の平岡卓選手が銅メダルを獲得した。

 一方、メダルを期待されたノルディックスキー・ジャンプ女子の高梨沙羅選手は4位に終わり、悔し涙を流した。しかし、まだ17歳だ。次がある。この経験を成長の糧にしてほしい。

 もちろん、頑張っているのは若手だけではない。スキー・ジャンプ男子ラージヒルでは、7度目の五輪出場となる41歳の葛西紀明選手が銀メダルを獲得した。冬季五輪の日本選手としては最年長のメダリストだ。

 40歳を超えて活躍する葛西選手は「レジェンド」と呼ばれ、海外でも高く評価されている。それでも、今回金メダルに届かなかったことで「次の45歳や49歳で迎える五輪では、体力や技術はもっと向上すると思っているし、いけるところまでいきたい」と語った。この向上心も大したものだ。

 メダル10個超達成を

 ソチ五輪は残り1週間を切った。日本勢にはメダル10個超という目標を達成してほしい。

(2月17日付社説)