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中国の同化政策 文化的ジェノサイド許すな


 中国が少数民族に対する同化政策を強化しようとしている。人類が歴史の中で学んできた民族の固有文化の尊重、保護の流れに逆行する反文明的な政策であり、断じて看過することはできない。

 習氏が漢語教育強化指示

 中国の習近平国家主席は、全国人民代表大会(全人代)の内モンゴル自治区分科会に出席し、「全国共通の言語の普及にしっかり取り組まないといけない」と述べ、同自治区における中国語(漢語)教育を強化するよう指示した。

 同自治区には少数民族のモンゴル族が多く暮らしモンゴル語が広く使われている。小中学校では「国語」としてモンゴル語が教えられ、中国語は小学3年生から第2言語として学ぶ「双語教育」が行われてきた。

 ところが習指導部は昨年、小学校の「国語」授業について中国語への切り替えを強行。街角からもモンゴル語が消えるという状況が起きている。

 これに児童・生徒や保護者が強く反発し、授業のボイコットなど抗議活動が展開された。モンゴル語を使用するモンゴル国民や日本を含む世界各国のモンゴル族も抗議デモを行った。

 中国当局はこうした声を無視し、中国語教育を強行。反対する人たちの顔写真を公開したり、経済的な圧力をかけたりするなど、さまざまな手段で抑え込みを図っている。

 習指導部は少数民族の同化政策を強めており、その中心の一つが中国語教育の強行による固有の民族言語の抹殺だ。新疆ウイグル自治区とチベット自治区では、既に「国語」「道徳」「歴史」の三つの教科で中国語による授業が行われている。

 習氏は「中国語の普及にしっかり取り組み、全国統一の教科書の使用を進めなければならない」と述べ、さらに「さまざまな誤った思想や政治的観点に、旗幟(きし)鮮明に反対するよう導くべきだ」と述べ、反対を徹底的に抑え込むよう指示した。

 一方、習氏は「文化は最も深いアイデンティティーであり、民族団結の根本だ」とも述べている。その習氏が少数民族の言語を抹殺しようとするのは、それが現在の共産党一党独裁体制を揺るがすとみるからだ。

 「中華民族」という歴史的にも学問的にも存在しない概念を作り上げ、今回も若年層で「中華民族の共同体意識」を深めることを強調した。民族の固有言語を抹殺しようというのは、世界史の流れに逆行するものだ。

 かつて中国大陸を治めた清朝が「五族共和」をスローガンに、満・蒙(モンゴル)・回(ウイグル)・蔵(チベット)・漢の融和を掲げ、民族文化も比較的尊重してきたことに比べても、大きな後退である。

 文明と人道に反する

 米政府は中国政府によるウイグル族など少数民族への迫害を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」「人道に対する罪」と認定。ポンペオ前国務長官は「少数民族、宗教を強制的に同化し、最終的には消滅させようとしている」と厳しく非難した。内モンゴルでの同化政策強化は、まさに文化的ジェノサイドに当たる。文明と人道の名において、これを許すことはできない。