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森会長辞意表明 五輪開催へ円滑な後任選出を


 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が、女性蔑視と受け取れる発言の責任を取って辞任の意向を表明した。軽率な発言を行った森氏の辞任は仕方がない。五輪実現へ後任を円滑に選出する必要がある。

女性差別との批判広がる

 森氏は日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言。女性差別だとの批判が広がり、大会ボランティアや聖火ランナーの辞退が相次ぐ状況となっている。

 厳しい批判は、特に“ジェンダー平等”に敏感な欧米諸国を中心に海外からも寄せられている。東京五輪の米国向け放映権を独占する米テレビ局NBCは「森氏は去るべきだ」とする記事を公式サイトに掲載した。

 ただ女性蔑視発言とされているが、本人にとっては軽口程度の認識だったのだろう。それは謝罪会見で収束を見なかったことからも明らかで、事態の重大性を痛感していなかったと言われても仕方あるまい。一私人の私的発言であればともかく、組織委のトップは国際的なインパクトを常に念頭に置いて発言すべきは言うまでもない。

 新型コロナウイルスの感染拡大が続き、東京五輪の延期や中止を求める意見も強まる中、何とか大会を実現させようとする関係者の懸命な努力に水を差したことは事実である。森氏が「五輪開催の準備に、私がいることが妨げになってはいけない」と辞任を表明したのは当然だ。

 一方で、責任をとって辞任する森氏が、組織委の後継選出の手続きを経ないうちに日本サッカー協会相談役の川淵三郎氏の指名に関与したかのような言動に理解は得られない。組織委の武藤敏郎事務総長は、御手洗冨士夫名誉会長を委員長に選考検討委員会を発足させ、後任の選考を進めていくと説明した。信頼回復には、選考過程の透明性を確保することが欠かせない。

 東京五輪開幕まで残り5カ月余りとなった。菅義偉首相は、大会を「新型コロナに打ち勝った証し」とする考えを繰り返し強調しているが、今回の問題で混乱収拾に動いた様子は見られなかった。「何としても五輪を成功させる」という強い意気込みが伝わってこないのは残念だ。

 組織委や国際オリンピック委員会(IOC)などは、各国際競技団体(IF)向けにコロナ感染予防策の指針を定めた「プレーブック」の初版を発表。入国前の検温やウイルス検査、入国後の行動規定や定期検査、アプリの活用、感染した場合の自主隔離などの基本項目が盛り込まれた。いつまでも混乱を長引かせることなく、安心・安全な大会の実現に向けて粛々と準備を進めるべきだ。

 今年は2011年3月の東日本大震災から10年の節目を迎える。東京五輪は、被災地の復興を発信する機会でもある。安全確保のため、選手と被災地との交流の在り方には配慮が必要だが、「復興五輪」の理念追求も求められよう。

指導力と人望ある人物を

 その意味で、組織委の新会長には、さまざまな困難を克服して大会を実現する指導力と人望が不可欠だ。