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コロナ禍1年、発生源否定の中国は本末転倒


 中国湖北省武漢市で新型コロナウイルス感染初期の患者が確認されてから、8日で1年が経過した。世界的流行(パンデミック)を引き起こし、洋の東西を問わず各国で外出制限などの非常事態措置が取られ、世界中の人々の暮らしや経済に大打撃となった。

 しかし、中国は発生源であることを認めようとせず、世界保健機関(WHO)の先遣隊を北京に迎えたものの武漢市での詳しい現地調査をいまだに受け入れないなど、頑迷で無責任な態度に終始している。

調査を認めず責任転嫁

 主要各国が全力を挙げてワクチン開発も進み、英国などで接種も開始されたが、感染増加は依然として深刻である。

 9日までに新型コロナ感染者は世界で6800万人を超え、死者は155万人を超えた。感染者数が多いのは1500万人を超えた米国を筆頭に、インド、ブラジル、ロシア、フランスなどだ。わが国でも17万人に迫っているが、中国では3月2日に8万26人と8万人台になってからほとんど増えていないことになっており、8万7000人弱で不自然だ。

 中国は3月に習近平国家主席が武漢市入りして“収束宣言”し、新型コロナとの戦いに勝利した“英雄”という国家像を、後から流行した国々に医療・救援物資と共に売り込み、発生源については「米国から持ち込まれた」「インドが本当の発生源」「海外から輸入した冷凍食品からウイルスを検出した」など諸説を当局者がメディアに流した。責任転嫁を露骨に図っているとみるほかないであろう。

 ウイルスの発生源は科学的に確定していないとの立場を中国は取っているが、WHOの詳しい現地調査を認めないのは非常に疑わしい姿勢だ。さらに常軌を逸していると言わざるを得ないのは、現地調査を求めたオーストラリアに対して畜産物の輸入制限など報復制裁まで行ったことだ。

 当初は武漢海鮮市場の職員にクラスター感染が発生したとみられることから、市場で売られた野生動物から感染したと考えられた。また、中国科学院武漢ウイルス研究所からの流出の可能性も指摘された。これほどの大流行の事態に、再発防止に向けた調査は当然だ。豪州のみならず多くの国が、発生源の調査に中国政府が積極的に協力することを期待しただろう。

 ところが、全く正反対の行動を中国は取っている。国内でも新型コロナの犠牲になった人々の遺族が、これまで武漢市当局の責任を追及しようと訴訟を起こしたが、裁判所は却下し、当局は弁護士に訴訟を支援しないように通達したり、外国メディアの取材に応じないように圧力をかけたりしているという。

人命は二の次の姿勢

 新型コロナの発生は市当局によって隠蔽(いんぺい)され、現場医療担当者がインターネットを通じて警告したことで世に明らかになった。さらに都市封鎖は初期の患者確認から1カ月以上も過ぎており、パンデミックに至った。その反省もなく自国が発生源であることを否定することに力を傾注する中国の姿勢は、人命二の次の本末転倒である。