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極超音速弾 日米は地域の安定へ開発急げ


 ロシアは極超音速(ハイパーソニック)ミサイル「ツィルコン」の発射実験を初めて行って成功した。

 極超音速とはマッハ5、つまり音速の5倍以上の速度のことで、既存の迎撃ミサイルでは撃ち落とすことが困難だ。日本や同盟国の米国は対応を急ぐ必要がある。

 ロシアが発射実験成功

 ロシア北西部沖の海域のフリゲート艦「アドミラル・ゴルシコフ」から発射されたツィルコンは、450㌔を4分30秒飛行し、バレンツ海の目標に命中。飛行中には最大高度2万8000㍍、速度はマッハ8以上に達したという。

 報告を受けたロシアのプーチン大統領は「世界に類例のない軍備で、末永くわが国の国防能力を保障するものだ」「ロシア軍だけでなく、国全体にとっての偉業だ」とロシアのミサイル技術をアピール、称賛した。ツィルコンは潜水艦や艦船に配備予定という。

 中国も開発を進めている。昨年10月の建国70周年を祝う国慶節では、極超音速滑空兵器「東風17」を披露した。推定射程距離は1600~2400㌔で、在日米軍基地、台湾、東南アジアが射程に入る。

 極超音速兵器は音速の5倍以上の速度で低空を飛行する上、弾道ミサイルのように単純な放物線を描くのではなく、不規則に機動するため、従来のミサイル防衛システムでは軌道が読めない。長距離飛行技術が確立すれば、発射から短時間で地球上のどこでも攻撃できるとされる。ロシアは既に極超音速兵器「アバンガルド」を実戦配備したと報じられている。

 国際秩序を軽視する中露両国がこうした兵器を保有することは、周辺国にとって大きな脅威となる。両国に後れを取る米国は3月、ハワイで極超音速兵器の発射実験に成功した。自国や同盟国、地域の安定のため、開発を急ぎ、軍事的優位を維持しなければならない。

 日本も2020年代後半に配備を計画しているとされる。防衛省は過去最大の5兆4898億円となった来年度予算概算要求で、極超音速誘導弾の開発・研究に93億円を計上した。日本は技術の開発で米国との連携を強化すべきだ。

 また、極超音速兵器を探知・追尾する「小型人工衛星網(コンステレーション)」の研究に2億円を計上した。小型人工衛星網は、軌道を周回する複数の衛星が代わる代わる監視する方式で、切れ目のない警戒が可能となる。

 6月には、自民党の安全保障調査会の下に「ミサイル防衛に関する検討チーム」が発足。設立文書の「従来のミサイル防衛で念頭に置かれていた弾道ミサイルのみならず、極超音速の巡航ミサイルといった新たな経空脅威への対応も喫緊の問題となっている」という文言に注目しなければならない。

 敵基地攻撃能力の保有を

 日本は陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画を停止した。

 極超音速ミサイルへの対応と共に、新たなミサイル防衛の一環として敵基地攻撃能力の保有も求められる。