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WHO改革、国際社会は公正な運営を促せ


 新型コロナウイルスへの対応で「中国寄り」との批判を受ける世界保健機関(WHO)について、各国首脳が改革の必要性を訴えている。

 WHOはこうした声に真摯(しんし)に耳を傾け、公正な運営に努める必要がある。

 極左出身のテドロス氏

 トランプ米大統領は今月、WHOの新型コロナ対応の過ちを検証する間、資金拠出を停止するよう指示。トランプ氏が議長を務めた先進7カ国(G7)首脳のテレビ会議では、各国首脳が新型コロナへのWHOの対応について「徹底的な見直しと改革」を求めた。

 オーストラリアも、新型コロナへの中国やWHOの対応について「独立した検証」を要求している。こうした事態は、WHOと中国の不透明な関係が招いたと言っていい。

 新型コロナの感染拡大は、中国の情報隠蔽(いんぺい)と初動の遅れが大きな原因だ。これに加え、WHOの中国に対する配慮で対応が後手に回ったことも感染を広げる結果となった。

 WHOの「中国寄り」の姿勢は異様である。緊急事態宣言を一度見送った後、1月末にようやく宣言した際にテドロス事務局長は「中国政府は感染拡大阻止に並外れた措置を取った」と中国への称賛を繰り返した。

 WHOが3月に「パンデミック(世界的流行)」を表明したのも、中国の習近平国家主席が国内での抑え込みを宣言した翌日で、これも中国への配慮とみていい。国際社会が、WHOへの中国の影響力を警戒するのも当然である。

 このようなテドロス氏の姿勢は、母国エチオピアが中国から多額の経済支援を受けていることが背景にある。だが、それだけではない。テドロス氏は、エチオピアの与党連合の中核である「ティグレ人民解放戦線(TPLF)」の主要幹部だった。TPLFは1975年にマルクス・レーニン主義に基づく極左革命組織として設立されるが、活動指針として取り入れたのは毛沢東思想だったという。

 テドロス氏が、民主活動家や少数民族を弾圧する中国共産党政権にシンパシーを抱いているとすれば、人類の健康増進を図るWHOのトップにふさわしいとはとても言えない。米国では与党・共和党議員からテドロス氏の辞任を求める声も上がっている。

 WHOが「一つの中国」原則を主張する中国の意向に沿って台湾を排除していることも容認し難い。台湾のコロナ対策は国際的にも高く評価されており、蔡英文総統は「台湾は感染症対策で世界に貢献できる」と繰り返しWHOへの参画を求めている。しかし、WHOが受け入れる気配はない。

 中国の影響力拡大を憂慮

 米国がWHOへの資金拠出を停止する中、中国はWHOに3000万㌦の寄付を決めるなど一層の影響力拡大を狙っているもようだ。

 WHOは健康を基本的人権の一つと捉えている。そのWHOで人権軽視の中国の影響力が強まることは極めて憂慮すべき事態である。国際社会はWHOに公正さを保つように強く促し続けなければならない。