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昭和の日 激動の時代に学び国難克服を


 きょうは昭和天皇の誕生日「昭和の日」である。「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」日である。新型コロナウイルスという、かつて経験したことのない国難に直面する日本だが、「激動の昭和」に国難克服の道を探ってみたい。

日本国民の「一致団結

 昭和の最初の3分の1は戦争の時代だった。昭和6年には満州事変が勃発した。戦争への道は天皇の御心に反するものであったが、その流れを止めることはできなかった。

 文芸評論家・小林秀雄は、当時の日本国民が示した少しも乱れない「一致団結」に注目して「長い而(しか)もまことに複雑な伝統を爛熟(らんじゅく)させて来て、これを明治以後の急激な西洋文化の影響の下に鍛錬したところの一種異様な聡明さなのだ、智慧(ちえ)なのだ」と述べている。戦争への反省から、戦争中の「お国のため」の言葉に象徴される自己犠牲や献身、一致団結も、いまでは否定的に取り上げられることが多いが、日本人の美質の一つであることに変わりない。

 昭和天皇の終戦の詔勅が発せられるや、日本人は涙をのんで敗北を受け入れ、軍も整然と武装解除した。それは国民と天皇との信頼関係があり、小林がいう「一種異様な聡明さ、智慧」が備わっていたからである。このような日本人の力があったからこそ、戦後復興と経済大国への道が開かれたのである。国の大きな目標は、政府が的確な施策を施すとともに、国民がこれに呼応してこそ達成できる。

 新型コロナウイルスの感染拡大は、日本にとって大きな試練である。戦後長く平和を享受し、東日本大震災などの大災害はあったが、今回のように全国に緊急事態宣言が発令されることはなかった。まさに戦後初めて経験する有事と言っていい。

 感染拡大を抑え、終息への道筋を付けるための方策は、人と人との接触を減らすことに尽きる。最も有効な手段は、欧米諸国のように外出を禁止し、都市封鎖(ロックダウン)することだが、日本では法律的な限界がある。このため、外出自粛要請など基本的に国民の協力を求める形とならざるを得ない。

 こういう時こそ、日本国民が歴史的に培ってきた団結心、公のための自己抑制、そして智慧を発揮すべきである。そうすれば、都市封鎖に劣らぬ効果を期待できるはずだ。

 昭和天皇の終戦の御聖断は、第一に本土決戦に突入すれば、多くの国民の命が失われ、日本が滅亡してしまうとの判断からであった。もう一つは「国体護持」のためであったが、これについては連合国側から確たる保証は得られていなかった。昭和天皇は、国民の生命さえ守れれば、国家の運命は、それが苦難に満ちたものでも、どのようにでも切り開くことができるという御信念であったと思われる。

医療崩壊防ぎ生命を守る

 新型コロナ感染拡大の影響は経済はじめあらゆる分野に及んでいる。それらに的確に対処する必要があることはいうまでもないが、今は医療崩壊を防ぎ、何より国民の生命を守ることを第一に、政府と国民が揺るぎない結束を示す時である。