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特殊詐欺 卑劣な犯罪への警戒強めよ


 振り込め詐欺など特殊詐欺の昨年1年間の被害総額が5年連続、被害件数は2年連続で減少したことが分かった。ただ2010年と比べると被害額、件数ともに2倍超で、依然として深刻な状況だ。特にキャッシュカードを盗む手口が大幅に増えており、警戒を強める必要がある。

カードすり替えが大幅増

 被害総額は301億5000万円(前年比21・3%減)、被害件数は1万6836件(同5・6%減)だった。「だまされたふり」作戦や職務質問を積極的に行った結果、摘発は6773件(前年比22%増)、2911人(同2・6%増)となり、ともに過去最高を更新した。

 対策が一定の効果を上げているのは確かだが、撲滅には程遠い。主に高齢者を狙う卑劣な犯罪を防ぐには、警察の対策強化だけでなく、1人1人が自衛策を講じることも求められよう。

 手口別では、おれおれ詐欺が被害額111億6000万円(同40・9%減)、被害件数6697件(同26・8%減)と大きく減少。ただ昨年は、警察官など「親族以外」に成り済ますケースが同13ポイント増の64・9%に上った。油断はできない。

 事前に資産状況などを聞き出す「アポ電」は、昨年4月から同年末までで9万1798件だった。昨年2月に東京都江東区のマンションに男3人が押し入り、住人の80歳の女性が襲われて死亡するなど、アポ電後に強盗に入る事件は昨年1年間で11件発生した。

 注目されるのは、金融機関職員などを装って「キャッシュカードが不正利用されている」と電話した上で訪問し、封筒に入れさせたカードをすり替える手口の被害が52億1000万円(同175・4%増)、3773件(同179・9%増)と大幅に増えたことだ。被害者に自分のカードが手元にあると思い込ませることで、現金自動預払機(ATM)で現金を引き出す時間的余裕を持てることが、急増の背景にある。

 昨年1年間の被害件数1万6836件のうち、被害者が65歳以上の高齢者は1万4043件(83・4%)。女性は1万948件で77・9%を占めた。高齢女性の独居世帯は男性の2倍超の約460万世帯に上るという。特に80歳前後になると日中も在宅していることが多いため、被害に遭う可能性も高い。

 被害を防ぐには、自宅の電話を常に留守番電話に設定し、電話をかけてきた相手との直接の対話を避けることが有効だ。詐欺グループが留守番電話にメッセージを残すことはほとんどなく、残したとしても落ち着いた対応ができる。

 このほか、自治体では「会話が録音されます」という音声が流れる「自動通話録音機」を貸し出すなどの取り組みを進めている。金融機関やコンビニでは、高額の現金を引き出しに来た高齢者らへの「声かけ」も積極的に行ってほしい。

地域社会の再構築を

 特殊詐欺は東京など都市部に集中しており、1人暮らしの高齢者が狙われやすいことから、家族や地域の絆の弱まりに付け込んだ犯罪だとも言える。このことは地域社会の再構築の大切さも示しているのではないか。