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新型肺炎 国際協力で封じ込めに全力を


 世界保健機関(WHO)は、中国湖北省武漢市を中心に広がっている新型コロナウイルス感染による肺炎について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に当たると宣言した。国際社会は協力して封じ込めに全力を挙げる必要がある。

WHO「緊急事態」宣言

 中国では新型肺炎の感染者が約1万人に達し、死者は200人以上に上っている。日本や米国、ドイツなどでは人から人への感染が発生した。緊急事態宣言は、こうした状況を踏まえたものだ。WHOのテドロス事務局長は「これ以上の感染拡大阻止のため一致して行動すべき時だ」と表明した。

 ただ、中国は感染封じ込めに「並外れた措置を取った」などと高く評価したことは疑問だ。中国の情報公開をはじめとする初動の遅れは否めない。

 WHOは人間の健康を基本的人権の一つと捉え、その実現のために設立された国連機関だ。この意味で、中国の対応は人権軽視と見られても仕方があるまい。テドロス氏から中国への批判があってしかるべきである。WHOに対しても、緊急事態宣言はもっと早く出す必要があったとの批判がある。

 テドロス氏は感染地への渡航や貿易を制限する勧告は行わないと強調した。中国は世界2位の経済大国であり、中国と経済的結び付きを持たない国はほとんどない。これで感染拡大を防げるのか。再考すべきだ。

 国際社会は封じ込めに向け協力しなければならない。特に中国には、国際社会との正確で迅速な情報共有を強く求めたい。

 WHOの緊急事態宣言を受け、日本では新型肺炎について2月1日付で感染症法の「指定感染症」とすることを決定。当初2月7日と定めていた施行日を前倒しした。過去2週間以内に湖北省に滞在していた外国人らは入国拒否する方針も決めた。

 武漢市から日本政府のチャーター機で帰国した邦人は565人に上る。第1便では無症状の2人を含む3人で感染が判明。第2便では30代と50代の男性で陽性反応が出たが、いずれも症状はない。第3便では10人がせきなどの症状を訴え、東京都内の病院に搬送された。

 チャーター機の搭乗費もこれまでは自己負担だったが、政府が負担する方向となったのは国民を守る上で当然のことだ。政府は第4便について週明け以降の派遣を検討している。

 第1便では、ウイルス検査を拒否した2人を含む3人が政府の宿泊施設に入らず、自宅に戻った。新型肺炎が指定感染症となれば症状のある人に入院を強制できるが、症状のない人にはできない。国民全体の安全を考えれば、感染が疑われる人への移動の制限などもやむを得ないのではないか。日本が感染拡大防止に向けた国際包囲網の「弱い輪」となってはなるまい。

 国民の協力も求められる。咳エチケットや手洗いなど予防策の徹底も心掛けたい。

活発な改憲論議を期待

 新型肺炎に関して、自民党からは非常時に私権を制限する緊急事態条項の創設など憲法改正の必要性を指摘する声も上がっている。国会での活発な改憲論議を期待したい。