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東京パラリンピック 前例のない大会に


パラリンピックが開幕し、国立競技場で打ち上げられた花火=24日、東京都新宿区

パラリンピックが開幕し、国立競技場で打ち上げられた花火=24日、東京都新宿区

後世が見る真の意義

 東京パラリンピックも、8日に閉幕した五輪に続き、新型コロナウイルス禍を避けられない。感染すれば重症化しかねない疾患を抱える選手も参加するスポーツの祭典にとっては、前例のない開幕となる。

 世界に12億人いるとされる障害者が脚光を浴びる機会だからこそ、「共生社会」「多様性」などの意義が語られる。ただ、目下の感染症に日常のみならず、生命も奪われかねない苦難は1年延期の代償を払ってもなお深刻になり、大会開催に国民の幅広い共感や賛同を得るのが難しい状況にある。

パラリンピック開会式前に抗議活動をする反対派たちと警備にあたる警官ら =24日午後、東京都墨田区の東京スカイツリー付近

パラリンピック開会式前に抗議活動をする反対派たちと警備にあたる警官ら =24日午後、東京都墨田区の東京スカイツリー付近

 57年前、最初の東京パラリンピックが行われた。厚生省(現厚生労働省)などが企画制作し、東京都千代田区の戦傷病者史料館「しょうけい館」に残された記録映像に映る国内外の選手は、一様に病院でよく見る車いすに乗っていた。違うのは表情だ。

 海外勢は朗らかで楽しそうに汗を流す姿が多かった。既に職業や自動車を持つ人が目立つことも紹介されたが、一方の日本勢について、ナレーションが「その逆」と表現した。主に国内療養所の入所者や病院の入院患者を集めた日本と、「社会人」である海外選手との違いが鮮明になった。そのことが、後の政策改善につながったと言える。

 記録映像は大会の理念を一切伝えていない。後世に残る本当の意義は、開催した後に見えてくる。