ウクライナ侵攻で中東のロシア傾斜は終わると指摘する米軍事サイト

バイデン大統領
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目論見外れたロシア

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、米露の間で微妙なかじ取りを迫られている中東各国。侵攻への非難には欧米に歩調を合わせるものの、制裁、軍事支援には慎重な姿勢だ。米国への反発もあり、近年、ロシアへの接近が伝えられている中東諸国だが、米軍事ニュースサイト「ディフェンス・ワン」は、「時間の無駄」とくぎを刺した。

米シンクタンク、大西洋評議会スコウクロフト中東安全保障イニシアチブのディレクター、キルステン・フロンテンローズ氏は、「ウクライナ侵攻は、ロシアの外交に関して幾つかの事実を明らかにし、軍の作戦の失敗で防衛政策に関する幾つかの事実が明らかになった」と指摘、米国のペルシャ湾岸への関与が後退する中で、「湾岸諸国は、保険としてロシアに接近しようとしたが、時間の無駄だったようだ」と強調した。

ロシアは、内戦下のシリアで影響力確保に成功、国内に海軍基地、空軍基地も設置し、地中海に直接臨む拠点を獲得している。また、湾岸では、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)を中心に関係は良好で、武器取引も盛んだ。

ところがフロンテンローズ氏は、ウクライナ侵攻を受け、「今後数十年間は、軍事研究・開発への予算は減少し、ロシア自身の軍事力、先進兵器の他国への供給能力は弱まる」と予測する。

軍事力でウクライナを圧倒するとみられていたロシアが、首都攻略に失敗し、東部、南部で一進一退の攻防を繰り広げるさまを見た各国から、ロシア兵器への依存を見直す動きが出てきても不思議はない。北大西洋条約機構(NATO)加盟国でありながら、反対を押し切ってロシア製の防空ミサイルを導入したトルコの今後の動向も気になる。

フロンテンローズ氏は、ウクライナ侵攻の狙いは、「米国の支配を破壊」することと、ロシアが大国としてみられる「一極支配秩序」の確立にあったとしている。だが、ウクライナの現状を見る限り、その目論見(もくろみ)は見事に外れた。