【政党メディアウォッチ】共産党、自民党、いずれも参院選ムードに

第208通常国会が閉幕し、参院本会場を後にする各党の議員ら=15日午後、国会内

共産党紙誌 野党共闘潜め「翼賛」批判

連合政権諦めず統一戦線維持

第208通常国会が閉幕し、各党は22日公示の参院選に走りだしている。今回は定員1の地方選挙区(1人区)で自民・公明の与党に野党が候補者を一本化して対決する野党共闘が始まった2016年参院選からの改選だ。全国32の1人区で同年と前回19年参院選で野党共闘は主に東日本の1人区で議席を得た。

この流れで昨年の衆院選では、立憲民主党と共産党が「限定的な閣外協力」を合意して政権交代を叫び、特に共産は党史上初めて政権参加を訴えたと意義を強調したが、結果は両党とも敗退。今回の参院選を前にした共産の機関紙「しんぶん赤旗」は「野党共闘」をあまり主張していない。

代わりに同紙1面には、「自民党と公明党、日本維新の会、国民民主党の『翼賛勢力』」の「改憲・大軍拡」(10日付)や、「消費税減税」(14日付)、原発の「即時ゼロ」(15日付)など党独自の主張を通じた政権批判、および野党の維新、国民への批判に移った。

だが、野党共闘戦術は消えたわけではない。訴えの力点を、自分たちと共闘しない野党と与党に対し「翼賛勢力」とレッテル貼りする「翼賛政治」批判に変えたのだ。同紙14日付では志位和夫委員長が「新潟選挙区で野党統一の森ゆうこ参院議員」などを応援した記事に、「『翼賛政治』の流れ押し返し平和・暮らし守る共産躍進を」の見出しで報じた。立民の参院議員の森氏の応援に「野党共闘」の見出しを取らなかった。

共産の「翼賛」批判は、ロシアのウクライナ侵略を受け各党が重視する安全保障について無策であるのを覆い隠す言葉のトリックだ。自民、公明、維新、国民の公約から防衛・安保政策の一文を引き出して「『大軍拡』大合唱…」(10日付)と称している。しかし、立民も政治活動用政策パンフレットで「着実な安全保障」の項目を設け「防衛力の強化は必要」と書いているが、矛先を向けず特別な関係を維持しようとしているようだ。

今回の参院選では、1人区で共産が候補者擁立を見送ることによる野党選挙協力は12選挙区で、立民現職が出馬する青森、岩手、新潟、山梨、長野の各選挙区とオール沖縄から無所属現職が出馬する沖縄選挙区などが含まれている。一方、国民の現職が出馬する山形、大分の各選挙区に共産は候補者を立てた。

立民に勝算のある1人区での共闘関係を墨守するのは、共産が政治目的を達成するには統一戦線が必要だからだ。参院選を前にした同党の機関誌「前衛」7月号は、参院選に向けた特集と共に「野党連合政権と党躍進を実現する強大な党を」と題し市田忠義副委員長の講義を連載し始めた。

「野党連合政権へのチャレンジはこれからも続きます」として、市田氏が強調したのは統一戦線だ。「党と統一戦線の勢力が安定的に国会で多数を占める」必要など何度も力説している。立民と共闘した昨年衆院選については、「『日本共産党を除く』壁を打ち破り、六年余りにわたる市民と野党の共闘の積み重ねの上に、いよいよ日本共産党も加わる新しい政権をつくることを課題にするところまで攻め込んだ」と統一戦線の大きな成果と捉えた。

一方、公明党の機関誌「公明」は「日本共産党流『統一戦線』に潜む罠」と題し6月号、7月号の上・下で連載している。興味深いのは7月号で共産が統一戦線をつくる足場として企業、官庁、マスコミ、学術会議、かつての社会党など各界に秘密党員を潜伏させていることを元共産党員らが証言した公然情報からの指摘だ。共産の統一戦線あるところ、今なおそのような工作もあるのであろう。