「処理水」海洋放出、反原発リベラル紙失速し保守紙圧勝も油断は禁物

福島県の避難区域。現在も一部地域は入ることができない。

規制委の「審査合格」

東京電力福島第1原子力発電所の「処理水」の海洋放出について原子力規制委員会が東電の設備設置計画を妥当と認めた。事実上の審査合格だ。これによって海洋放出の実施に一歩前進した。これは大きなニュースだ。

福島第1原発では建屋内に地下水や雨水が入って放射性物質に触れたり、燃料デブリ(溶け落ちた燃料)の冷却後の水が建屋に残ったりして汚染水が発生する。これを多核種除去設備(ALPS)で処理し、高台にあるタンクに貯蔵している。その数は現在、1000基以上に上る。その場所を空けない限り、廃炉作業は進まない。

それで昨年4月、菅義偉前首相が処理水の海洋放出を決断し、これを各紙は1面トップで大きく報じた(同14日付)。保守紙は「飲料基準以下に希釈」(読売)、「基準濃度の40分の1」(産経)と海洋放出の安全性を強調したが、反原発リベラル紙の朝日と毎日は不安を煽(あお)るかのような報道姿勢に終始した。

当時、朝日は原発取材センター長・福島総局長による「唐突な政治判断 地元反対押し切り」との解説まで載せて反対論を張った。だが、「地元反対」というのは恣意(しい)的で、地元中の地元、原発立地の自治体(大熊町・双葉町)はそろって容認し、福島県知事は賛否を明らかにしていなかった。朝日福島版ではさらに輪をかけて「汚染水放出するな」と虚偽を垂れ流す団体の活動まで載せた(放出されるのは処理水で、汚染水ではない)。

それだけに今回の原子力規制委の「審査合格」は菅決断に続く新たなステージで、保守・リベラル紙の対決が再現されるかと思われたが、リベラル紙は失速し、保守紙圧勝の図となった。