自民党埼玉県議団の「LGBT条例案」に「再考」を求めた八木秀次氏

同性婚合法化のデモに参加する台湾のLGBT支持者たち=2019年2月27日

無理筋の性の捉え方

自民党内で昨年5月、「性的指向及び性自認を理由とする差別は許されない」との文言が入った左派的な「LGBT理解増進法案」が了承寸前までいった。事ほどさように「左傾化」が目立つ自民党だが、あれから1年、今度は地方支部レベルで同じの動きが出ている。

自民党埼玉県議団(自民埼玉)は1年前に頓挫したLGBT法案と同じ趣旨の条例案を6月定例議会に提案する方針だ。「性の多様性に係る理解増進に関する条例(仮称)」がそれ。LGBT運動ブームという時流に乗ることは得意でも、伝統的な家族の概念を崩壊させかねない危険性には思いが至らない県議が多いようだ。

「同性婚」の法制化を含めたLGBT運動を後押しする新聞が多い中にあって、保守系の産経新聞15日付に、麗澤大学の八木秀次教授が自民埼玉に条例案の「再考」を求める論考を寄稿している。

県に「性の多様性に係る理解増進」に取り組むことを求める一方で、「性の多様性」とは何かなど、概念の曖昧な文言を多く使う条例案だが、八木氏が特に注目するのは「性自認」を理由とする「不当な差別的扱い」を禁止する条項。要するに、体は男性でも「女性」だと「自認」する人(トランス女性)は「女性」として扱えというのだ。

性同一性障害者など、体の性と心の性が一致せず苦しんでいる人が存在するのは事実だが、なぜ県民に本人が主張する性で扱うことを義務付けるような極端な考え方が出てきたのか。それは、この条例案が性を「男女という二つの枠組み」ではなく「連続的かつ多様」なものとする考え方に立って構成されているからだ。つまり、性はグラデーションなのだから、性別は自分で選択するものだというのである。

この性についての無理筋の捉え方は、現在のLGBT運動と基本的に同じ。つまり、活動家たちがつくった思考の枠組みで考えさせられているのであって、自民の県議たちが熟慮してまとめたのではないのは明らか。この骨子案についてパブリックコメントを募ったところ、相当数の反対意見が寄せられたというが、当然だろう。