「社会民主」65周年記念 護憲非武装で消えゆく党

4月13日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊ブチャの集団墓地を訪問する国際刑事裁判所(ICC)のカーン主任検察官(AFP時事)

武器求めたウクライナ批判

社民党の機関誌「月刊社会民主」は5月号で「創刊65周年記念」だが、7月参院選で同党は政党要件(得票率2%以上)を満たすか否かの瀬戸際だ。巻末の中島修党機関紙宣伝局長の文書を見ても、一昨年の「第17回臨時全国大会では『社民党で頑張る』ことも『立憲民主党に合流する』ことも認め合う決定となり…その結果、本誌は大幅に部数を減らし」たという。部数減は立民合流で約2万2000人が離党し、党員が1万人余りになった影響だ。

ちなみに「前身である『月刊社会党』は…1957年5月10日に創刊号(6月号)が発刊され…96年3月、社会党は社会民主党へ党名を変更し…『月刊社会民主』に改題し」た。万年野党の印象があるが、片山哲内閣、村山富市内閣で首相を出し、ほかに細川護煕内閣、橋本龍太郎内閣、鳩山由紀夫内閣に政権参加した栄枯盛衰がある。

社民党は護憲政党の老舗で、現在の党宣言でも自衛隊は違憲として解消を求め、非武装を目指している。社会党時代は非武装中立論を唱え、ソ連、北朝鮮、中国などと友好関係を深めた。この傾向は同誌特集「憲法を守り活かし実現する」でも遠からずだ。

巻頭記事は評論家・佐高信(まこと)氏によるもので、帝政ロシア時代のウクライナ出身のピアニストを父に持つベアテ・シロタ・ゴードン女史が憲法起草に関わったことを取り上げた。「14条の法の下の平等と24条の家族生活における個人の尊厳と両性の平等は当時22歳だったベアテが起草した」など称(たた)えるものだ。

この記事の題に「おっさん壊憲の標的は女性」と付けている。「おっさんの掟」という著書を持つ谷口真由美氏の言う「おっさん」の例示、「独善的で…」など長々と引用し、佐高氏は「こうしたオッサンが改憲ならぬ壊憲の急先鋒」と決め付け、「森喜朗や安倍晋三、あるいは石原慎太郎に取り入った橋下徹など」と名指しした。

「おっさん」例示の引用は憲法論議と関係ないので、ただ「おっさん」というばかにしたようなレッテル貼りが目的のようだ。憲法礼賛で改憲論を悪く思わせながら、改憲派へ浴びせる扇情的な言葉の“いじめ”は戦後左翼運動の伝統のようにも思える。

青山学院大学名誉教授・羽場久美子氏の記事では、ロシアのウクライナ侵攻に対し「今、最も重要なことは、米国と欧州、NATOのウクライナへの武器供与を止めることである。それはそのまま、台湾への武器供与の正当化につながっていくからである」と述べている。それだけでなく「武器供与を各国の議会に求めて回ったゼレンスキーの行動は、ロシア軍の侵入とあわせて問題として論じられるべきである」と、ウクライナに批判的だ。

ロシア軍による民間人虐殺については、「ウクライナ軍の方が、3―5倍の大量のロシア軍兵士を、米国やNATOの最新兵器で殺している。民間人のジェノサイドと言うが、…本当に民間人で家庭にいた男性なのか、戦いに出ていた男性なのか分からない。無防備な戦闘員だったことも考えられる」と疑った。さらに「合わせて、アフガニスタンやベトナムで米国が民間人に行った行為」に矛先を向けるので、ロシアにとっては胸がすく話だろう。

かつてソ連は社会党「非武装中立」論を評価したが、ロシアはこれをウクライナに要求した。記事の通りウクライナと台湾に武器供与しなければ、クリミア併合のような現状変更が演じられるだろう。それは社民党が政党要件危うくなるまで支持されないように、ウクライナでも台湾でも支持されない。

(窪田 伸雄)