新型コロナ「5類」への変更より法律運用での柔軟対応を説く専門家


2類相当とは言えず

新型コロナ感染の第6波をもたらしているオミクロン株(オミ株)は感染力の高さと重症化リスクの低さが明らかになっている。このため、感染症法で位置付けられる「2類」相当を、季節性インフルエンザと同じ「5類」相当に引き下げるべきではないか、という声が高まっている。しかし、事はそう単純ではなさそうだ。

病院のイメージ

18日放送のBSフジ「プライムニュース」は、医師で衆議院議員の国光あやの、埼玉県医師会会長の金井忠男、神奈川県医療危機対策統括官の阿南英明がこの問題を議論した。

軽症ないし無症状が多いオミ株の対応について、金井は「2類相当であれば即入院だが、(現状は)自宅療養もある。そういう状況から、2類相当とはまったく言えない」と、法律上の位置付けとのズレを指摘した。

阿南も「感染症の分類は、コロナが出る前につくられたもので、(法律上の位置付けは)当然当てはまらない。2とか5の問題ではない。専門家でも議論しているが、どこにも当てはまらないというのが答え」と、対応の難しさを強調した。

感染症法では、危険度の高い順に1類(エボラ出血熱・ペストなど)から5類(季節性インフルエンザ・はしかなど)に分類されている。新型コロナは当初、「1~3類に準じた対応の必要が生じた感染症」として「指定感染症」に分類された。しかし、昨年2月、1~5類の枠組みとは別の「新型インフルエンザ等感染症」に変更。結核や重症急性呼吸器症候群(SARS)などと同じ2類相当という位置付けになっている。

新型コロナの場合、第1号感染者の発生から2年が経過した現段階で、感染者は442万人、死者2万1700人(19日現在)。しかし、このうち、どれだけがサイトカインストーム(免疫暴走)など、新型コロナが直接的な死因だったかははっきりしない。コロナが引き金となって、持病の悪化により亡くなった感染者も相当数存在すると推測できる。

「概念転換」呼び掛け

一方、厚労省によると、例年のインフルエンザ感染者は年間約1000万人。このうちインフルエンザが直接的・間接的死因となった死亡者は年間1万人と推計されている。

このため、専門家の間には、新型コロナは「インフルより怖くない」という声は当初からあった。それが「風邪に近づいた」と言われるオミ株に変わったことで、5類相当に変更すべきだという声が一気に高まっている。阿南は「オミクロン株は『オミクロン病』だ」とこれまでの「怖い」というコロナのイメージから「概念転換」を呼び掛けるとともに、過剰に恐れることに警鐘を鳴らした。

5類に引き下げれば現在、逼迫(ひっぱく)する保健所の業務が軽減するなどのメリットがあるが、出演した3人からは、現状のまま5類に下げることに賛同する意見は出なかった。2類相当を維持している理由の一つに、治療・検査の公費負担がある。金井は高額な治療薬を例に出した。2類相当では薬価はすべて公費負担だが、5類となった場合、たとえ保険適用でも費用負担は個人に重くのしかかる。

さらに、オミ株の後、また別の変異株が出ないとも限らない。このため、阿南は「いざ、違うものが出たら、元(2類相当)に戻せるのか。そのフレキシビリティーをどう担保するのか。そこを前提にしないと、この話は進めにくい」と訴えた。

警戒心が緩む懸念も

一方、法律の運用ですでに5類相当になっていると指摘したのは国光。「今の法律はものすごく柔軟に書いてある。(入院などを)『知事は勧告できる』となっていて、“しなければならない”ではなく“できる”という規定。要は知事の手のひらで、かなりフレキシビリティーをもって対応できる。神奈川県は自主療養を認め、運用で5類相当に落としている」と説明した。阿南が指摘したように、過剰に恐れることは問題の解決にならないが、かといって安易に5類相当に下げれば警戒心の緩みを生じさせ、結局、収束を遅らせることになる。それよりも法律の運用によって実質5類相当にするのが妥当なのではないか。
(敬称略)
(森田清策)