新年経済社説で抽象論の日経・朝日・毎日、具体論で真摯な産経・読売

経済政策によって人の暮らしを支えるのは当然である。具体論がより重要になる。写真は元旦の初詣の様子。=東京 明治神宮

資本主義論語る3紙
今年最初の小欄担当ということで、やはり、各紙年頭の経済社説を取り上げたい。

見出しは次の通りである。元日付日経「資本主義を鍛え直す年にしよう」、3日付朝日「『新しい資本主義』/『関係の網』視野に入れて」、毎日「資本主義の見直し/人と暮らし支える経済に」、産経「コロナ過と経済/感染抑止し着実な回復を/賃上げ実現へ生産性を高めよ」、4日付読売「日本経済再生/好循環への明確な道筋を描け/企業の消極姿勢を転換させたい」、5日付本紙「新年の日本経済/再生に警戒要す『第6波』」――。

上記の通り、日経、朝日、毎日3紙は、岸田文雄首相が「新しい資本主義」を唱えていることを踏まえて資本主義論を語り、産経、読売、本紙の3紙は新年日本経済の課題を扱っている。

前半の3紙は新年正月を意識してか、大所高所から現在直面する資本主義を概観し、問題点などについて持論を展開している。そのため、中身が抽象的で具体論が少なく、文言的には分かったつもりでも、具体的にどういうことなのか、今一つピンとこない。

何をどう鍛え直す?

例えば、「資本主義を鍛え直す…」とする日経。同紙は、「コロナ禍は世界がこれまで内包していた問題をあぶり出した」として、米中などの国家間の対立・摩擦や、国内の貧富、人種、性別などによる分断がこれまでより先鋭化しているように見えるとし、「このことは経済の根幹の資本主義そのものを揺るがしている」と強調する。

また高齢化、デジタル化などの構造変化で制度疲労が目立つ資本主義のほころびを繕う不断の改革が、民主主義を守るためにも重要になっているとして、「体力低下が目立つ資本主義を磨き鍛え直す。その契機になる年にしたい」というのだが、具体的に何をどう磨き鍛えるというのか分らないのである。

 朝日の「『関係の網』…」も、同様に分かりにくい。

毎日の「人と暮らし…」は、要はコロナ禍が浮き彫りにした「深刻な格差の是正に取り組むこと」のようなのだが、そのためには「資本主義のあり方を見直すことが欠かせない」という。どう見直すかといえば、「無理に高成長を追うのではなく、人や暮らしを重視する経済への転換が求められる」と。

しかし、そもそも「人と暮らしを支える」ことを重視しない経済などない。成長を求めるのも、人と暮らしを支えるのに、より多くの税収を得ようとするためであり、それによって国を豊かにするためである。

コロナ禍が浮き彫りにした、深刻な格差で人と暮らしが傷んでいることは確かだが、その総体として国の経済も大いに傷んでいるのである。そんな視点が毎日にはない。

感染拡大の抑制強調

コロナ禍で傷んだ経済をいかに立て直すか、その課題に真摯かつ具体的に取り組んでいるのが後半の3紙、特に産経と読売である。

産経は、見出しの通り、感染拡大の抑制を強調した。「その徹底が、最も効果的で優先すべき経済対策」だからである。感染力の強いオミクロン株の市中感染が広がりつつあるため、大切なのは同紙が言うように、昨秋以降の行動制限緩和で再開した経済活動を維持できるかどうかで、それが維持できてこそ、コロナ禍で膨らんだ家計貯蓄を「リベンジ消費」につなぐことで着実な回復への見通しも立つ。あとは、いかに付加価値を高める経営を実践して生産性を上げ賃上げを促進するかである。

読売も産経同様、妥当な指摘が少なくなく、特に首相が賃上げを経済の好循環につなげようとする狙いは妥当であると指摘し、「問われるのは、それを実現する具体策だ」と強調する。それはいいのだが、国の財政立て直しも急務という。「好循環の道筋を描け」と求めながら、同時に財政立て直しもできるのか。この点には疑問が残った。
(床井明男)