日韓、互いに学ぶこと多い コロナ禍でも韓国語試験受験増 駐日大使館 梁鎬錫首席教育官に聞く   

駐日大使館 梁鎬錫首席教育官に聞く

“戦後最悪”とまで言われる日韓関係だが、改善のカギは何なのか。韓国大使館の首席教育官(参事官)として在日韓国人の民族教育や教育分野での日韓交流、受験者が増える韓国語能力試験(TOPIK)などを統括する梁鎬錫氏に聞いた。(聞き手=武田滋樹)

 ヤン・ホソク 1968年、韓国・忠清南道論山生まれ。ソウル市立大法学部卒。檀国大教育大学院修士過程修了。96年から教育部(文科省相当)で勤務。2011年から九州大大学院で学び、17年博士号取得。駐大阪韓国総領事館の教育官を経て、現在、駐日韓国大使館の首席教育官(参事官)。16年に大統領賞を受賞。

 ――日本での韓流ブームが韓国語の学習につながっていると聞く。

最近は、韓国語が全世界的規模で普及しており、87カ国で韓国語能力試験(TOPIK)が行われている。このうち、日本は韓流文化ブームの最初の震源地であり、新型コロナの影響にもかかわらず韓国語の学習者が飛躍的に増え、多くの人が本試験を受験している。

――コロナ禍の影響は。

コロナ禍以前のピークである2019年は2万7000人の申請があった。翌年はほぼ中止となったが、21年はコロナ対策として試験会場を小分けにしたり、受験者を分散させるなどの環境整備を行い、教育機関などを含めた会場側の協力もあって19年から約50%増加し、4万1000人にまで伸びた。

今年4月に実施された試験では、昨年の同時期と比べ12%増加した。全世界の統計では20年に続き減少傾向にあるが、日本だけが増加に転じている。

――日韓関係がよくない中での受験者増はなぜか。

どんな国においても近隣諸国との関係は、歴史的にさまざまな問題が生ずるものだ。幸いに韓日の間は、民間レベルの文化交流や教育交流などが完全に断たれたことはあまりない。政府の間では歴史問題などさまざまな対立もあるが、民間レベルでは活発な交流が続いている。TOPIKの受験者増加はそれを物語っている。

――現在の韓日関係をどう見るか。

直接両国を往来した人の数が韓日関係を左右すると考える。お互いの国の訪問経験者は今後増えるはずであり、韓日関係はまだ冷ややかな面も存在するが、近い未来、さまざまな交流の発展の可能性を秘めている。

教育分野では、相手国の専門家と対面すると、次世代の教育方法や人間性の育成などについて話をする。韓日関係について触れることはない。自分が携わる分野についての専門性や使命感、人間性に焦点を当てるため、交流という側面で見ると活発にならざるを得ない。

実際に、教育機関同士の交流を見ると、非常に面白く、相手の立場になって学ぶことが多い。子供たちもとても楽しそうに、興味深い時間を過ごすし、教師たちは地域交流を持続させるための努力を惜しまない。

他の分野のことは分からないが、教育交流の現場においては、私が見る限り、それが韓日関係の未来を予測する基準(尺度)となるのではないかと思う。

――日韓関係をより発展させるためには何が必要か。

いまだに両国は互いに必要とするものがあり、相手国が持っている長所を活用したり、学んだりする余地が多く存在する。

教育分野でも、韓国のデジタル教育体制は世界最高だと自負している。さまざまなことを試み、その中で最適な状態や、条件を整え教育する。もちろん異論もあるだろうが、そういう点を日本はうまく活用してもらいたい。

逆に、韓国は日本が持つ教育の特性、ノーベル賞受賞が物語る研究の持続性や頑固なほどまでの根性をもって研究できる環境をつくること。これは、韓国が熱心に学ぶべき点だ。

研究者は今すぐお金をもうけようとしているのではない。自分が生活できる基本的な条件、住居や社会保障制度などを整えてあげれば、自分の研究設計を続けながら人類史に貢献できるさまざまな枠組みを作ることができる。日本はそれがうまくできている。

お互いに必要なことが何かを知ることで、関係も回復する。必要性を感じなければ興味を失う。実際に必要なことが何かを互いに見いだしていけばいいと思う。

 ヤン・ホソク 1968年、韓国・忠清南道論山生まれ。ソウル市立大法学部卒。檀国大教育大学院修士過程修了。96年から教育部(文科省相当)で勤務。2011年から九州大大学院で学び、17年博士号取得。駐大阪韓国総領事館の教育官を経て、現在、駐日韓国大使館の首席教育官(参事官)。16年に大統領賞を受賞。