【社説】参院選投開票 国難に対処できる人材選べ

街頭で最後の訴えを聞く有権者 =9日午後、大阪市中央区のんば駅前

第26回参議院選挙がきょう、投開票される。立候補した選挙区367人、比例代表178人の計545人が、ウクライナ危機や安全保障政策、憲法改正、物価高への対応、エネルギー政策、少子化問題などを主な争点に舌戦を繰り広げてきた。

昨年10月に就任した岸田文雄首相(自民党総裁)の政権運営に審判が下される。有権者には未来に責任を持って国難に対処でき信頼に足る有能な人材は誰かを含めて判断し、投票所に向かってもらいたい。

改憲勢力「82」に注目

選挙戦では、投票日直前の8日、安倍晋三元首相が街頭演説中に銃撃され死去した事件を受け、岸田首相や閣僚が直ちに遊説を中止し、他党の幹部も遊説を取りやめるという異例の事態となった。投票の行方に影響することが想定されている。

岸田首相が選挙期間中の6月26~30日、先進7カ国首脳会議(G7サミット)と北大西洋条約機構(NATO)首脳会議出席のため日本を離れたことも異例だった。選挙中の首相の長期外遊は、それだけ国際情勢が緊迫化していることの表れだ。

特に、スペインで開かれたNATO首脳会議には日本の首相として初めて出席。NATOがインド太平洋地域へ関与を強めていることを歓迎し、中国、ロシアの艦船が日本列島を周回する異常事態に対処し、日NATOが協力するという新たな地平を開いた。この日本外交の方針の変化をどう評価するのかも審判の材料とすべきである。

ロシアのウクライナ侵攻の影響で、安全保障政策が大きな争点となった。共産、社民以外の自民、公明、日本維新の会、国民民主、立憲民主の各党はそろって防衛強化に前向きな姿勢を示したが温度差が際立った。どの政策が最良の国防策となるか、判断が求められよう。

今回、注目したい数字は「55」「82」「400万」の三つだ。「55」は、自民、公明両党が勝敗ラインとする与党での過半数(非改選含む)に達する数字である。衆議院では両党で過半数を占めているため、岸田首相が求心力を維持し、安定した政権運営が可能になる。

「82」は、憲法改正の発議に必要な3分の2以上を改憲勢力が占めるか否かのボーダーラインだ。衆院では既に改憲勢力が3分の2以上いる。参院で自民、公明の与党に加えて維新、国民民主が計166議席を確保できれば、改憲論議を活発化させ、改憲原案の取りまとめに着手することも可能となろう。

「400万」は日本共産党の基礎票数とされる。9年前の参院選比例代表の得票数は515万、6年前は601万、3年前は448万だった。党勢の減退が著しい中で今週、党創立100年を迎える共産党が、基礎票数を割り込むことがあれば、党名変更や路線の見直しの声が表面化することも予想される。

将来かかる自覚持て

懸念されるのは投票率の低下だ。今回の期日前投票は過去最多の勢いだが、前回投票率は50%を切った。10~30代が低いのが特徴だ。

国家と私たちの将来のかかっている選挙であるとの自覚を持つことが肝要である。