【社説】アフガン地震 暫定政権の改善を期す支援に

22日、アフガニスタン東部バクティカ州で、地震で家を失い野宿する人々(AA時事)

アフガニスタン東部国境付近で発生した地震により1000人以上が死亡するなど大きな被害を受け、タリバン暫定政権は国連はじめ国際社会に救援を要請した。

女性や少数民族に対する差別的政策など人権問題を抱え、国際社会の対アフガン制裁が続く最中の災害だが、被災者救援に人道措置の手は差し伸べられるべきだ。

国際社会に救援要請

昨年の米軍撤退のタイミングで攻勢に乗り出したイスラム主義組織タリバンの前に共和国政府が崩壊し、約20年続いた国際的な復興支援は途絶えた。タリバンは首都カブールの中央省庁舎を占拠して以来、事実上、政権を掌握しているが、国際社会で政府承認している国はなく、各国の銀行部門の制裁もあり財政破綻している。

その中で22日未明に東部山岳地帯を襲ったマグニチュード5・9の地震は、被害の大きさからアフガン社会に一層の打撃を加えるものだ。現地は長雨の地盤の緩みによる土砂災害に加え、土を日干ししたレンガや岩石を積み重ねた家屋が倒壊し、就寝中の人々を生き埋めにした。被害のさらなる拡大も懸念されている。

しかし、アフガンではタリバン暫定政権の下で難民となった人たちが国外に逃れた人材流出で復興の担い手の多くを失い、食料不足はじめ経済危機を招いている。タリバンが即座に国際社会に助けを求めたのは、災害救助活動など非常事態対処の統治能力の欠如を認めるものだ。

同時に救援要請を通じたタリバンと国際社会とのやりとりは、政府承認に向けた既成事実化を増し加える動きとなる一方、国際社会が求める承認要件を実現させる機会とすべきかもしれない。アフガンは共和国政府崩壊後も国連など国際機関に在籍しているが、経済危機、食料危機が叫ばれながらも制裁や政府未承認の壁があった。

被災地への救援要請を受け、国連人道問題調整事務所(OCHA)が支援活動に人材を派遣し、国連世界食糧計画(WFP)が食料や緊急物資を現地に届ける活動を始めたほか、米国のバイデン政権は支援策を国際開発局に指示。わが国も木原誠二官房副長官が必要な支援を迅速に提供することを表明した。

パキスタン国境に近い遠隔地域であることから交通事情は極めて悪く、チームや物資を現地に届ける救援活動の難航も予想されている。ロシアの侵略に対するウクライナ支援で欧米が忙殺されている今日、機動的な人道支援に向けたわが国の役割が検討されよう。

支援を再生につなげよ

ただ、タリバン暫定政権は国際社会の承認を得る取り組みに問題がある。3月には予定されていた女子中等教育の再開を突然延期して批判を招いた。

女性・少数民族を含むアフガン人の人権尊重、包括的政治体制の構築、代表制政府実現の法整備、テロ組織排除、国際法尊重などをクリアすることが肝要だ。これらを暫定政権が前進させれば、被災地支援の輪が食料危機の救済、経済危機への対処、アフガン再生への道につながり得るだろう。