【社説】沖縄慰霊の日 平和と発展へ抑止力維持を

平和の礎を参拝する遺族ら =2020年6月23日午前、沖縄糸満市の平和祈念公園

沖縄県はきょう「慰霊の日」を迎え、糸満市摩文仁の平和祈念公園で「沖縄全戦没者追悼式」を開催する。

沖縄では第2次世界大戦末期に日本軍と連合国軍との間で激しい地上戦が展開され、民間人約9万4000人を含む20万人以上が犠牲となった。心から鎮魂の祈りを捧(ささ)げたい。

5月で本土復帰50年

追悼式には岸田文雄首相も出席する。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、首相の出席は3年ぶりとなる。

沖縄戦は1945年4月2日に組織的な戦闘が始まり、6月23日に終了した。沖縄県はもちろん、他の都道府県出身の兵士も死力を尽くして戦った。戦艦「大和」は沖縄戦に向かう途中で米艦載機の攻撃を受け、鹿児島県沖で沈没した。きょうは沖縄県民だけでなく、全ての日本国民が平和を守る決意を新たにする日としたい。

沖縄は今年5月、本土復帰50年を迎えた。政府は同月、沖縄振興に関する今後10年間の指針となる基本方針を決定。アジアに近い地理的優位性を踏まえて「強い沖縄経済を実現し、わが国全体の発展を牽引し得る可能性を秘めている」と指摘。戦略的な産業振興を目指す方針を打ち出した。このためには、沖縄と日本そしてインド太平洋地域の平和と安定を維持することが欠かせない。

中国は沖縄県・尖閣諸島の領有権を一方的に主張し、中国海警船が尖閣周辺で領海侵入を繰り返している。さらに中国の習近平国家主席は台湾統一を「歴史的任務」と位置付け、武力統一も排除しない姿勢を示している。中国が台湾に侵攻すれば、沖縄県の先島諸島が攻撃されるとの指摘もある。

こうした中で気になるのは、沖縄県の玉城デニー知事が米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設に強く反対していることだ。9月の知事選出馬の意向を表明した玉城氏は「断固として認められない」と強調している。

しかし、辺野古移設は日米同盟の抑止力維持と普天間の危険性除去を実現する唯一の解決策だ。反対するのは、沖縄と日本を取り巻く厳しい安全保障環境から目を背け、平和を危うくすることだと言わざるを得ない。

沖縄は中国や朝鮮半島をにらむ戦略的要衝であり、地域の平和を守る上で在沖米軍の存在は死活的重要性を持つ。自衛隊のミサイル部隊や沿岸監視隊を沖縄に配備する「南西シフト」も急速に進んでいる。

平和維持には抑止力が必要であることは、ロシアのウクライナ侵略を見ても明らかだ。1991年の旧ソ連崩壊後、ウクライナは世界3位の核兵器保有国だったが、94年の核拡散防止条約(NPT)加盟に際し、核兵器をロシアに移管した。核兵器を保有していればロシアに侵略されることはなかったとの見方が強い。辺野古移設推進こそが、沖縄戦の犠牲者の願いに応えることにもなるはずだ。

 真の平和への道選択を

今回の参院選は沖縄では知事選の前哨戦と位置付けられ、辺野古移設も争点の一つとなっている。県民には真の平和への道を選択してほしい。