【社説】参院選公示 骨太政策の論戦深め審判を

第26回参議院選挙がきょう、公示される。7月10日の投開票日に向けて、選挙戦のスタートだ。岸田文雄首相にとって、昨年秋の衆院選に続き2度目の大型国政選挙となり、政権発足から約9カ月の中間評価の意味合いもある。各党の公約は国内外の情勢を反映し、外交・安全保障政策や物価高騰対策に力点を置いている。憲法改正や少子高齢化対策なども含めた骨太政策の論戦を深め、有権者の審判を仰いでもらいたい。

 改憲勢力82確保が焦点

直近2回の参院選では、野党は全ての1人区で統一候補を擁立したが、今回は限定的な共闘にとどまった。そのため、非自民票が分散し、与党が有利との見方が多い。だが、岸田首相や茂木敏充自民幹事長は「勝敗ラインは与党で過半数」と控え目な設定をしている。自公合わせ69の改選数が56議席に減っても、非改選と合わせ総定数(248)の過半数の125に届く。

この選挙を無難に乗り越えれば3年間は国政選挙が予定されていないため、長期政権の布石になるとの思惑はないか。だが、国民にとって政権が長く続けばいいというものではない。

国際安保環境の激変や緊急事態への対応で限界を露呈している憲法を早急に改正しなければならないのだが、今回、改憲勢力が改憲案の発議に必要な3分の2以上の議席を獲得できなければ、さらに3年後の参院選まで待たなければならなくなる。

つまり、非改選も含めて参院総定数の3分の2に当たる166に届くか否かが最大の焦点だ。そのためには、自民、公明に加え、日本維新の会、国民民主党を合わせた改憲勢力は82議席以上を確保する必要がある。

茂木幹事長は「(参院)選挙後できるだけ早いタイミングで憲法改正原案の国会提案、発議を目指したい」と語る。自公が改選数維持にとどまった場合、自民を離党中の議員を含めなければ維新や国民民主は議席増が必要だ。自民には1議席でも上積みする姿勢が肝要である。

外交・安保政策で掘り下げたいのは、政府が年内に策定予定の国家安全保障戦略の柱をどうすべきかだ。当初、対中国だったが、ロシアがウクライナに侵攻し、中露艦艇が共同でわが国周辺海域を航行するなどの威嚇が続くようになった。

立憲民主党の泉健太代表は「必要な防衛力は整備する」とした上で「不用意に軍備を拡張することは周辺国とのビジネスにも影響を及ぼす」との認識を示した。与野党は、日本を取り巻く現状への脅威の認識を示し、「必要な防衛力」とは何か、戦略をどう構築すべきかなどについて論じてもらいたい。

原油高、資源高、穀物高、欧米のインフレ率上昇、急激な円安などに直面している中で即効性ある物価高対策を講じることは容易でない。2兆7000億円の令和4年度補正予算を成立させたが、切れ目ない次の一手の議論も必要だ。

 人材を熟慮し選択を

候補者の街頭演説や投票を訴える声が今後、全国各地に響いていこう。長期的視点で政策立案のできる「良識の府」にふさわしい人材かどうか。有権者には熟慮し選択してもらいたい。