【社説】フィンランド NATOは早期に加盟認めよ

北欧の中立国フィンランドのニーニスト大統領とマリン首相が、北大西洋条約機構(NATO)への加盟を申請する方針を発表した。ロシアによるウクライナ侵略という事態への危機感からNATO加盟を求める国民世論が急激に高まっており、速やかに手続きを経て承認されることを願いたい。

旧ソ連と2度の戦争

プーチン露大統領はウクライナへの「特別軍事作戦」に当たり、ソ連崩壊時に16カ国だったNATOが30カ国にまで増えた東方拡大を非難した。ウクライナを31カ国目の加盟国にさせないという軍事侵攻が裏目となっている。

フィンランドはロシアと北極圏を含め1300㌔の国境を接しており、1939年11月末にソ連からの侵攻を受けて戦った冬戦争から1944年9月まで2度の戦争を戦った。第2次世界大戦中だったが、ソ連に領土の一部を奪われながら国家を存続させた歴史がある。

大戦後は、東西冷戦時代に超大国化するソ連を相手に軍事的緊張を高める恐れから、西側同盟のNATOに加わらず、東欧諸国のように社会主義化されたソ連の衛星国ともならず、議会制民主主義体制でありながらソ連に融和的な姿勢を取り、「フィンランド化」とも揶揄(やゆ)された。

そのフィンランドがNATO加盟申請を行うことは、同盟国のないウクライナに対してロシアが国境付近に軍を集結させて恫喝(どうかつ)を行い、ついには全面的な軍事侵攻に及んだ事態を目の当たりにしたためだ。フィンランド放送協会(YLE)が発表した世論調査では、NATO加盟支持が76%の圧倒的多数を占めた。かつては2~3割程度だったが、3月の世論調査で60%に跳ね上がり、今回さらに伸びる結果となった。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、NATOがウクライナを加盟させていればロシアは侵略してこなかったと繰り返し発言している。凄惨(せいさん)な戦場、悲劇の赤裸々な実態が日々ニュースやインターネットで流れ、ロシアの脅威を抑止するためNATOの集団的自衛権に救いを求めるのは理解できる。

ソ連崩壊後、ロシアと直接国境を接しないNATOの危機感は薄かった。ロシアとNATO側の間には中立国フィンランド、旧ソ連構成国のベラルーシとウクライナが緩衝国として存在した。が、バルト3国が2004年にNATOに加盟したことで直接国境を接することになり、ロシア側の被害感情が高まった経緯はある。

しかし、ロシアはウクライナの全面制圧を目指すとみられ、NATOとロシアが直接隣接する戦争にプーチン氏は打って出たと言えよう。この点は、米国、英国、フランス、ドイツなどNATOに加盟する主要国が、ロシアに警戒を怠り、バイデン米大統領はウクライナへの米軍派兵を早々に否定するなど、プーチン氏の開戦決断を誘ってしまったことは否めない。

北欧2カ国の妥当な選択

その教訓を踏まえ、ロシアは対抗措置を取るだろうが、フィンランド、近く申請するとみられるスウェーデンのNATO加盟は妥当な選択に違いない。