【社説】露の大規模虐殺 プーチン氏に法の裁きを

自転車に乗る地元住民の前に横たわる破壊されたロシア軍の戦車=キーウ近郊ブチャ、2022年4月3日(UPI)

ロシア軍が地上部隊を撤収させたウクライナの首都キーウ(キエフ)周辺で、ロシア軍に虐殺された民間人の遺体が多数見つかった。目を覆いたくなるような残虐行為である。

戦争における民間人虐殺は国際法に違反する蛮行であり、人道上も到底容認できない。国際社会は経済制裁強化などロシアに対する圧力を高め、責任を徹底追及すべきだ。

ウクライナに特別機構

遺体はいずれも民間人の服装で、手を縛られたままのものもあった。外見や状況から、何日間も放置されていたもようだという。

キーウ北西ブチャの市長はロシアの部隊に住民300人が殺されたと述べた。ブチャは撤収前、ロシア南部チェチェン共和国から送り込まれた戦闘員の支配下にあったとされる。

ウクライナのゼレンスキー大統領は「ジェノサイド(集団虐殺)だ」と非難。ロシアのプーチン大統領のみならず、命令を下した全ての軍司令官らも「適切に処罰されなければならない」と訴えた。一方、ロシア国防省はブチャでの民間人殺害への関与を否定。報じられた写真や動画は「挑発」で「ウクライナの政権が演出した」などと主張している。

ロシアは侵略当初、キーウを早々に陥落させ、ゼレンスキー政権の転覆を狙っていたとされる。しかしウクライナ軍の頑強な抵抗で、作戦は思うように進んでいない。その腹いせに無辜(むこ)の民間人を虐殺したのであれば断じて容認できない。

ゼレンスキー氏は今回のジェノサイドを受け、ロシア軍によるあらゆる犯罪を捜査し、裁くために司法の特別機構の創設を承認したと発表した。欧米も戦争犯罪としてロシアの責任を追及する構えを強めている。

民間人攻撃は南東部マリウポリで激化している。マリウポリでは軍事とは無関係の産科病院をはじめ、劇場、美術学校など民間人の避難先も被弾して犠牲が拡大し、これまでに子供を含む5000人以上が死亡した。

ロシアはキーウなど北部から東部や南東部の親露派支配地域の拡大に軍事作戦の重心を移しつつある。第2次大戦のソ連の対ドイツ戦勝記念日である5月9日までにドンバス地方を含む東部の制圧を目指しているとの指摘も出ている。

軍の指揮権を持つプーチン氏をめぐっては、国際刑事裁判所(ICC、本部オランダ・ハーグ)が3月、戦争犯罪や人道に対する罪で捜査を開始した。1990年代の旧ユーゴスラビア紛争でジェノサイドの責任を問われたミロシェビッチ元ユーゴ大統領は、大統領辞任後に逮捕され、60以上の戦争犯罪や人道に対する罪を犯したとして旧ユーゴ国際戦犯法廷に起訴された。プーチン氏にも法の裁きを受けさせなければならない。

経済制裁を強化せよ

このためには、ロシアに対する経済制裁を強化し、プーチン政権を追い込む必要がある。岸田文雄首相は「国際社会と連携しながら、わが国としてするべきことをしっかり行っていきたい」と述べ、追加制裁を検討する方針を示した。欧米との一層の協力が求められる。