
沖縄県辺野古沖で発生した抗議船の転覆事故に関し、また新たな事実が明らかになった。同志社大学の小原克博学長のゼミ生が、死亡した船長の抗議船「不屈」に乗っていたのだ。キリスト教主義教育と過激な政治活動の関係性の強さが分かる事実と言える。
小原氏のフェイスブックを見ると、学長就任前の2020年3月3日、「沖縄ゼミ旅行」について記したゼミ生の投稿が「沖縄タイムス」(同年2月27日付)に掲載されたことを紹介している。投稿には「新基地建設反対抗議船『不屈』に乗船した」とあった。
高校生の沖縄研修旅行(平和学習)と、大学生のゼミ旅行を同列に扱うべきではない。しかし、高等教育のフィールドワークだとしても、危険な航行を繰り返す抗議船にゼミ生が乗船したのだから、教育者としての責任を問われる。この点では、高校も大学も同じだ。小原氏と同志社国際高校の教師たちから、命を預かる責任感を薄れさせたものは何か。事故再発防止のポイントである。
小原氏は同志社大学神学部を卒業し、同大学大学院神学研究科博士課程を修了。日本基督教団札幌北光教会担任教師を経て、同大学の教員に。20年4月に神学部長、24年4月、学長に就任している。「不屈」の船長、金井創氏とは、出身大学は異なるが、左傾化が指摘される日本基督教団の牧師という共通点がある。
同志社大学のホームページには、創立者、新島襄の建学精神「良心教育」に基づいた「良心を手腕に運用する人物」を養成するとある。「不屈」の転覆事故はキリスト教の牧師が反体制的な政治活動をするためなら不法行為もいとわぬことを示したが、それが牧師としての良心に従った行為、と小原氏は判断したのだろうか。
学校法人同志社が公表した転覆事故についての特別調査委員会報告書によると、1980年開校の国際高校は第1期生から沖縄研修旅行を実施。98年度以降(2019年度から21年度を除く)、金井氏を含む日本基督教団の牧師が毎回開会礼拝を担当した。
抗議船に乗船する辺野古ボートコースが開始されたのは22年度からだ。きっかけは、開会礼拝を担当する金井氏との打ち合わせで、同氏から「他校の生徒らをボートに乗せる」取り組みを行っているとして「辺野古をボートに乗り海から見る」プログラムの提案を受けたことだったという。
ここで驚くのは、金井氏と面談しただけの教師の報告を受け、高校側が下見もせずに辺野古ボートコース導入を決定したことだ。安全確認などの検討はまったく行われなかった。これは同氏への信頼だけでは説明がつかない。報告書は「他校の生徒」とは東京のキリスト教系学校の生徒だとするが、小原氏のゼミ生を乗せたという話も出て、それが高校側の判断に影響した可能性もあるのではないか。
抗議船転覆事故は日本基督教団牧師ネットワークの強固さを示したが、同志社と小原氏はそのネットワークと左傾化した神学によって良心を絡め取られたのだろうか。だとすれば、その神学とは何か。ゼミ生が「不屈」に乗った経緯をはじめ、小原氏には疑問に答える責任がある。しかし、26日現在、同志社大学のホームページでも自身のフェイスブックでも何も触れていない。沈黙せざるを得ない事情があるのだろうか。







