天候・為替次第、克服実感も
「久しぶりに2000円台の“小泉米”があったので買ってきちゃった」
日曜日(21日)の午後、よく牛乳などを購入する近くのドラッグストアから帰ってきた家内の第一声である。
“小泉米”とは、小泉進次郎現防衛相が農林水産相時に放出した政府備蓄米のこと。何せ、スーパーなどの店頭で売っている値段の半額で、味もそれほど悪くないから、わが家でもたびたびお世話になった。
コメ5㌔当たりの平均価格は備蓄米の放出もあり、7月に3500円台まで下がったが、その後は再び値上がりし、2025年産の新米が出ている現在は4300円台で高止まりしている。家内が飛び付くのも無理はない。
コメをはじめ、今年も物価高の一年だった。天候不順もあって野菜が高騰した。1月にはキャベツが1㌔553円と平年の3・37倍となり、最近ではトマトが豪雨や高温の影響で値上がりしている。
帝国データバンクの調べによると、今年の食品の値上げ数は2万609品目となり、前年(1万2520品目)を64・6%も上回り、23年(3万2396品目)以来、2年ぶりに2万品目を超えた。
値上げ要因は「原材料高」が9割を超えて最も多く、次いで8割弱の「物流費」。物流費が多いのは、人手不足で人件費が上昇しているからだ(回答は複数回答)。
意外だったのは、円安(為替の変動)要因が1割強と少なかったことだ。円相場は年初の1㌦=157円から4月22日に一時139円まで上昇。円安はその後からゆっくり進行し、高市政権発足前後の10月上旬からは150円台で推移している。前半の円高進行と変動幅が比較的小さかったことが影響したようだ。
消費者物価は8、9月に上昇率が2%台にとどまった以外はいずれも3%台の伸びで、上昇が収まらない。名目賃金は46カ月プラスを続けているが、実質賃金は10カ月連続マイナスというありさまだ。
来年、物価高はどうなるのか。26年の食品値上げは25年11月末時点で1044品目と、前年同月時点の翌年予定数(4417品目)と比べて8割減のペースで推移しており、来春にかけて値上げラッシュはいったん収束の見通しという(帝国データバンク調べ)。
今後の円安の進行や長期化によっては値上げの動きが広がる可能性はあるが、現時点では確かな朗報と言える。
ここに実質年明けから加わるのが、高市政権が初めて実施する総合経済対策だ。この中では「生活の安全保障・物価高への対応」として8・9兆円が投じられ、電気・ガス代支援や子育て応援手当などの対策が始まる。新年度からは本予算で賃上げを支援する政策も引き続き実行され、税制改正で所得税が課される最低ライン「年収の壁」が、現在の160万円から178万円に引き上げられる見通し。
食品値上げの話に戻すと、来年の値上げ要因は、25年に比べてモノ由来、すなわち天候不順による不作や価格上昇といった影響を受けた値上げが目立ち、値上げの主因がサービスから再びモノへと回帰する動きも見られるという。
天候や為替次第という性格が強いのは否めないが、対策と賃上げの両面から、物価高克服の実感が徐々に持ち得る年になりそうな気がする。
(編集委員)






