トップオピニオン記者の視点止まらぬ財務省解体デモ 消費税廃止や天下り禁止訴え【記者の視点】

止まらぬ財務省解体デモ 消費税廃止や天下り禁止訴え【記者の視点】

福島支局 長野 康彦

財務省解体デモの動きが止まらない。昨年暮れに霞が関の財務省前で発生して以来、1、2月も継続して行われ、今や1000人を超える規模で全国に広がる勢いを見せている。オールドメディアはずっとだんまりを決め込んでいたが、ようやく幾つかの報道機関が報じ始めた。

これだけ大規模なデモが東京のみならず大阪、福岡など地方都市でも起きているにもかかわらず、NHKはいまだに報道していない。国民から受信料を徴収し、公平公正な報道で国民の知る権利に応えるべき公共放送NHKはなぜ報じないのだろう? かつてSEALDsというリベラルな団体が安倍政権に対する反対デモをした時には熱心に何度も報道していた。全国放送で国民に知れわたるのを恐れた財務省から圧力でもあるのだろうか?

デモといえば、1960年、70年安保闘争など昔、学生運動を経験し左翼的思想を持った高齢者層や、リベラル政党の主義主張に共感した人たちが行うのが定番だが、今回のデモの特徴は、主催者不明で自然発生的に起きていることである。加えて、保守・革新のイデオロギーを超えて、学生ら若い世代や女性の参加も多く見られることだ。2月21日の霞が関財務省前でのデモには女子高校生や子育て中の主婦も演説に登場、消費税廃止や天下りの禁止を訴え、増税したら出世、減税したら左遷されるという財務官僚たち自らの都合に国民を利用するなと訴えた。

最強官庁と呼ばれる財務省の闇は深い。一般会計とは別に、特別会計制度というものを通じて年間400兆円もの巨額な税金を天下り先へ流出させ、官僚が天下りした際の給料となっていることが分かっている。

財務省はオールドメディアや増税政治家らを使って「国の借金は1000兆円を超えた」と国民の不安を煽(あお)り、「増税やむなし」の民意を形成し、増税にもっていく。ここで負債ばかりが強調されるが、資産も合わせれば国の財政状況はまったく問題ないことを多くの専門家が指摘している。増税に次ぐ増税で今や国民負担率は50%に迫りつつある。

元大蔵財務官僚で数量政策学者の高橋洋一氏は著書『正しい「未来予測」のための武器になる数学アタマのつくり方』の中で、財務官僚たちを「エリート意識が強く、『俺達は日本の国家財政の専門家だ』と豪語」するが、実態は「会計、財政、経済の専門家にすらなれない素人の集まり」と述べている。「エリート」がともすると国の行くべき方向を誤らせることは、すでに先の大戦で経験済みのはずである。

日本が30年間も経済成長できず、国民の可処分所得が一向に増えないのは、ひとえに財務省の「財政均衡主義」による誤った財政政策のせいである。1月に亡くなった経済アナリストの森永卓郎氏は著書『ザイム真理教』で、財政均衡主義という「教義」により、「国民全体が財務省に洗脳されてしまった」と述べ、財務省は、宗教を通り越して「カルト教団化」していると喝破している。

今やこうした財務省の実態が明るみとなり、国民の知るところとなった。これもXやYouTubeに代表されるSNSのおかげだ。国民の怨嗟(えんさ)の声は日に日に高まっている。

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