【記者の視点】米で暴走する左派地方検事 政治目的でトランプ氏訴追

編集委員 早川 俊行

地方検事が国家を破壊している――。米国でこのような信じ難い状況が起きている。

連邦制の米国では、検察組織が連邦と地方にそれぞれ存在し、連邦検事は大統領が任命するのに対し、地方検事長は選挙で選ばれる。全米各地で近年、急進左派の地方検事長が著名投資家ジョージ・ソロス氏の資金援助などによって次々に誕生し、深刻な問題を引き起こしている。

急進左派の地方検事長は、犯罪者を差別的な米社会の被害者と捉える傾向が強く、犯罪者を積極的に裁こうとしない。その結果、著しい治安悪化を招いている。

そんな彼らは地域の治安のみならず、国家の秩序まで破壊し始めた。トランプ前大統領は既に4件の刑事訴追を受けたが、2件は連邦検事、もう2件は急進左派地方検事長によるものだ。来年11月の大統領選に向けトランプ氏を追い込む政治的思惑が働いている可能性が高い。

トランプ氏を訴追した地方検事長は、ニューヨーク・マンハッタン地区検察のアルビン・ブラッグ検事長とジョージア州フルトン郡地区検察のファニ・ウィリス検事長だ。

トランプ前米大統領を訴追したジョージア州フルトン郡のファニ・ウィリス検事長(ウィリス氏のホームページより)

ブラッグ氏は、関連団体を通じてソロス氏から選挙資金を提供されて当選した「ソロスチルドレン」の一人。ブラッグ氏はトランプ氏が不倫相手に支払った口止め料を巡りビジネス記録を改竄(かいざん)したとして重罪で起訴した。だが、ニューヨーク州ではビジネス記録の改竄は軽犯罪であり、重罪に問うのは法的に無理があるというのが多くの法律専門家の見方である。

一方、ウィリス氏はソロスマネーを受け取っていた記録はないが、最近のニューヨーク・ポスト紙の報道で、ウィリス氏の父ジョン・フロイド氏はかつて、黒人解放闘争を展開した過激なマルクス主義組織「ブラックパンサー党」の系列組織の幹部だったことが明らかになった。ウィリス氏は過激な過去を持つ父親から価値観を引き継いだことを認めている。

そんなウィリス氏によるトランプ氏の訴追は、罪状が無茶苦茶だ。ウィリス氏は、トランプ氏が2020年大統領選で敗北したジョージア州の結果を組織的に覆そうとしたとして、本来はマフィアなどを取り締まる「RICO(威力脅迫および腐敗組織)法」を適用。トランプ氏だけでなく、法律顧問だったジュリアーニ元ニューヨーク市長ら関係者18人を犯罪組織の構成員として一斉に起訴してしまった。

ウィリス氏は違法行為の事例として、トランプ氏が投票日翌日に勝利宣言をしたことや、ツイッター(現X)で選挙不正を主張したことなどを挙げた。だが、これらの行為のどこが違法なのか。ウィリス氏の法解釈に従えば、選挙結果に異議を唱える行動を取っただけで、結果を覆そうとした罪に問われてしまう。

トランプ氏の行動に問題があったことは事実だが、それを刑事罰で裁くのが正しいのか。刑事訴追からはトランプ氏を絶対に刑務所に送るという明確な政治的意思が伝わってくる。このような状況下で次期大統領選が公正に行われるのか、大いに不安である。

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