【記者の視点】過激化するLGBT教育 小6に女装パフォーマー授業は「虐待」?

編集委員 森田清策

LGBT(性的少数者)の当事者が誇りを持って生きていける社会を築こうとの趣旨の企画「東京レインボープライド」が22、23の両日、東京・代々木公園で行われる。その中心行事は最終日に行われる「プライドパレード」。

約10年前から本格化したこの行事を、筆者はこれまで何度も取材している。しかし、フロート車の上で、奇抜な衣装と厚化粧で踊る男性の姿には、筆者の理解はいまだに深まらない。「ドラァグクイーン(女装パフォーマー)」だ。

先月、ドラァグクイーンに関して、長年、LGBT問題をウオッチしている筆者も驚く動きがあった。小学校から「講師」として招かれ授業を行ったのだ。

静岡県菊川市立加茂小学校が当事者の男性(31)を特別講師に招いたのは先月15日。新年度から中学生になる6年生に「性の多様性について理解を深めてもらおう」と企画したのだという。その授業のニュースとして流した地元テレビ局の映像がユーチューブにアップされている。

講師は小学生の時、男の子が好きなことに気付き、それから葛藤を抱えながらも明るく生きてきた人生を振り返った。授業の最後には、交際している男性を紹介した。

授業の後、「偏見なくというのはちょっと難しいかもしれないが、こういう人もいることを覚えてほしい」と語った。テレビ局の取材で「男性だが、男性を好きになってしまったということを聞いた時、どう思ったか」と質問された男子児童は「別に良いと思う。自分が邪魔しちゃいけない。その人の自由でやっていれば、みんな幸せなんじゃないかって思った」と答えた。

これでも分かるように、テレビ局には、LGBT授業が児童にポジティブな影響を与えることを伝える狙いがあったのだろう。しかし、講師の化粧と服装はプライドパレードの彼らと同じで“ド派手”。それが「小6を前に授業とは」と、筆者は言葉を失ってしまった。授業はツイッターでも物議を醸している。

 「別に呼んでもいいと思う。話を聞くぐらいなら」と容認コメントもあるが、大多数は否定的。「同性を好きになることもある、を教えるにしても一般人に溶け込む普通の格好をした人を呼んだ方がいいと思う。これではかえって偏見がうまれそう…」と逆効果を懸念する意見のほか、「加茂小学校 虐待」「教師が呼びたかっただけでは?? 学校の先生は個人の趣味を平気で優先する傾向があるから困るんだよ」「親は怒れ!」と学校側を非難する声も多かった。

米国で子供にドラァグクイーンによるショーを見せるイベントが広がっていることについて、弊紙は批判的に報じているが、日本の教育現場が早くもその後を追い、多くの人から顰蹙(ひんしゅく)を買うような授業を行うようになった要因は二つ考えられる。一つは新しい試みに挑戦することが好きで、海外の実践例を人より先に取り入れたがる教師が存在することだ。

もう一つはLGBT概念の曖昧さだ。法務省の性的少数者の理解手引き「あなたが あなたらしく生きるために」のように、性の多様性を「身体の性」「心の性」「恋愛対象」の三つの要素の組み合わせで示すものや、「性的指向」と「性自認」の二つだけを構成要素にする自治体もある。

一方、前出の三つに服装やしぐさなどの「ふるまう性(性表現)」を加え「性の4要素」とするハンドブックもある。この場合はドラァグクイーンも性的少数者に入ることになる。また、性自認は「性自称」ではないか、性表現には「性的嗜好(しこう)」も含まれるのではないか、などの論争があり、LGBT概念は揺れている。

よく言えば、進取の気性のある教師は、強い人権意識もあってLGBT概念を幅広く捉え、たとえ世間のタブーに触れ「虐待」と反発される授業であっても挑戦したがるのではないか。この教師心理と概念の曖昧さが重なり、LGBT教育は過激化しやすい危うさをはらむ。それをマスコミが後押しすることで他の学校に広まる構図が生まれている。

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