トップオピニオン記者の視点【記者の視点】関連団体との絶縁 「稀代の悪法」に似た手法だ

【記者の視点】関連団体との絶縁 「稀代の悪法」に似た手法だ

政治部長 武田 滋樹
もう1カ月近く前の話だが、立憲民主党の岡田克也幹事長が就任直後の会見で、かつて弊紙のインタビューに応じたことについて次のように話した。

「旧統一教会(以下、教団)との関係は承知していなかったが、自分なりには図書館に行って、ある程度過去にさかのぼって世界日報とはどういうものかをチェックした。記事はかなり保守的だが、特定の団体に偏った記述は見られなかった」「中身は一般の記事で書かれていた。それから、私の発言をそのまま掲載してくれていた。そういったちゃんとしたメディアであるというふうに早とちりした」

旧民主党政権時代には、岡田幹事長の記者会見で弊紙記者が何度も社名を名乗って質問し、それに答えておられたはずだが、それも早とちりだったのだろうか。

それはさておいても、岡田氏の発言は、弊紙の取材を受けたり、インタビューや座談会に参加した議員たちが述べる常套(じょうとう)句だ。つまり、教団との関係は知らなかった、メディアとしての落ち度はないが今後は関係を断つ――というもの。どうして金太郎飴(あめ)のような反応となるのだろうか。

議員が教団の関連団体と関係を持つと当該教団にお墨付きを与えることになるとの釈明もあるが、それはつまり、①教団を「反社会的な団体」「反日カルト」などとする一部弁護士集団の主張やマスコミ報道を認め、②何の不法行為もない団体であっても教団と同じ思想・信仰を持つ人間が関わっていればそれは問題ある団体だとの判断に立つ――という意思表示に他ならない。

教団について、宗教法人を所管する文化庁は12日、現時点で解散命令を請求する対象に当たらないとの見解を示しており、①の判断も速断に過ぎるが、関連団体まで問題とする②の判断は憲法が認める思想信条の自由、結社の自由などを明確に侵害するものである。

そのあたりの事情は、「稀代(きだい)の悪法」と言われる戦前の治安維持法の条文を見るとより明確になる。同法は大正14年の制定当時は共産党員の取り締まりが主目的で、国体変革などを目的とする結社を組織したり事情を知って加入した者を罰することが可能になった。これで共産党の組織(結社)はほぼ壊滅させたが、その後、同様の思想を持つ人間の活動に取り締まりの範囲を広げるため、昭和3年の改正(改悪)では本人の意図に関係なく「結社の目的のためにする行為をした者」にまで罰則を科すことが定められ、労働組合活動や文化活動、宗教団体まで弾圧の対象が拡大した。

さらに同16年の再改悪では、「前条の結社を支援する目的」の結社や「第一条の結社の組織を準備することを目的」とする結社や集団まで罰する対象にした。すなわち国がある団体を国家として規制すべき団体と判断すれば、関連する団体や個人まで一網打尽にできる仕組みができたのだ。

戦前は国が人権無視の弾圧を行ったが、今は、教団に敵対する弁護士集団が一部マスコミと一体となって、「稀代の悪法」と同じような手法で教団つぶしを進めている。政治家が軽々にそれに同調していいのだろうか。

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