
編集委員 床井 明男
スマートフォンでの操作が苦手で今まで避けてきたのだが、テレビCMでも簡単になったというので挑戦してみた。総務省が進めるマイナンバーカードの交付申請である。
最大2万円分がもらえるというマイナポイント第2弾。9月末までに申請するとポイントがもらえるということに合わせたのか、行政から8月下旬、家族宛てに2度目の交付申請書の入った封書が届いたからである。
なるほど、簡単とCMが訴える通り、想像以上に簡単だった。決め手はQRコードのようで、23桁の申請者IDや名前、住所が既に記録されており、それらの確認とあとは誕生日などを入力するだけで済んだ。
写真もスマホで自宅の白い壁を背景に撮ったものを添付。何か不備があれば、1週間程度でメールで再度案内が来るということなのだが、もう1週間以上過ぎているのに特に連絡は来ていないから大丈夫なのだろう。
あとは交付場所などを知らせるはがきを待つばかりである。残るはマイナポイントの申請で、こちらは少し面倒そうだが、今回クリアできたことに勇気を得てチャレンジしたいと思っている。
何にでもポイントが付く時代である。スーパーやコンビニをはじめ、飲食店、家電量販店、最近は銀行まで生活に関わるモノやサービスにポイントが付き、専用アプリもある。わがスマホにも自分で入れたり、担当者に入れてもらったりして、数社のアプリが入っている。
自分の場合は200円の買い物に1ポイント1円換算のものが多い。利子に置き換えれば0・5%だが、銀行の普通預金金利0・001%、定期預金金利でも0・002%だから、これらの250~500倍。銀行は預金者にとって利子を増やす機関でなく、安全な一時預かり場所ぐらいの役割しかない。ポイントの時代なわけである。
消費者にとっては生活防衛の手段であり、業者にとっては囲い込み、生き残りの手段の一つである。
だが、今年は特に消費者にとっても業者にとっても厳しい年である。原油価格の高止まりに、ロシアのウクライナ侵攻とその長期化などから原材料価格の高騰が続き、さらに円安の進行も加わって、生活関連物資の値上げが止まらないからである。
帝国データバンクによると、食品業界で年内の値上げが予定を含め2万品目を突破。しかも最近の1ドル=140円を超える円安により、再値上げが必至な情勢となり、さらに増えそうなのである。
値上げが増えても、賃金が伸びていれば問題はないのだが、厚生労働省の毎月勤労統計調査によれば、物価変動を反映させた7月の実質賃金は前年同月比1・3%減と4カ月連続のマイナス。
働き手1人当たりの現金給与総額は、残業代や賞与の増加を受けて1・8%増と伸びてはいるのだが、消費者物価指数は3・1%上昇。物価の伸びの方が高く、購買力を示す実質賃金はマイナスが続いているのである。
今夏は3年ぶりに新型コロナによる行動制限がなかったが、消費は期待ほど伸びなさそうである。
マイナポイント取得はチャレンジでなく、家内からの厳命となった。