推進派が曲解した「18年調査」 「夫婦別姓」世論調査

編集委員 森田清策

内閣府が3月25日公表した「選択的夫婦別姓」(別姓)制度に関する世論調査結果が波紋を広げている。制度の導入賛成の割合が28・9%と、調査を始めた1996年以降で最低になったことで、野田聖子・男女共同参画担当相をはじめ、与野党の導入推進派の政治家が「非常に分かりにくい」と調査の在り方に疑問を投げ掛けている。

閣僚が政府調査に異議を唱えるという異例の事態が起きた背景には、前回調査(2018年発表、調査は5年に1度)と今回とでは、質問内容が変わったことがある。

前回調査では、導入賛成が42・5%と過去最高を記録した。今回さらに賛成派が増えれば、制度導入への追い風になる―そう踏んでいた導入推進派にすれば、逆に過去最低となった今回の結果は受け入れ難い。そこで、質問を変えたことをその要因とするとともに、その責任を問う姿勢を強めているのだ。共産党の穀田恵二国会対策委員長は「(調査は)極めて恣意的だ」(朝日新聞3月31日付)と述べた。

だが、今回と前回の質問内容を比較すると、分かりにくかったのは前回までの方で、推進派の主張と真逆の実情が浮かび上がる。

まず、今回の調査を見てみよう。質問は三つ。①「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した方がよい」27%②「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」42・2%③「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」28・9%―と、極めて明快になっている。①と②を含めると、同姓制度の維持派は69・2%となる。

一方、前回は(1)「現在の法律を改める必要はない」29・3%、(2)「夫婦がそれぞれ婚姻前の名字を名乗ることができるように法律を改めてもかまわない」42・5%。

そして、(3)「夫婦は婚姻前の名字を名乗ることを希望していても、夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが、婚姻によって名字を改めた人が婚姻前の名字を通称としてどこでも使えるように法律を改めることについては、かまわない」24・4%。これが分かりにくい。

よく読めば、今回調査の②に相当し、これを選択した人は同姓制度維持派とカウントされるべき内容だ。しかし、その文章の分かりにくさが曲解を誘発し、本来の意味とは逆に、別姓制度の「容認」になるケースが珍しくない。

岩手県花巻市議会は先月16日、同姓制度の法制化を求める意見書を可決した。その意見書には「2018年に内閣府が公表した世論調査では、選択的夫婦別姓制度の導入に賛成・容認と答えた国民は66・9%」とある。軽率にも、(3)を、別姓制度「容認」に入れてしまうミスを犯してしまっている。

別姓制度を推進する「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」によると、同制度の法制化を求める意見書は先月26日現在、337自治体を数え、そのうち109件が同アクションの働き掛けだという。その中で、花巻市議会同様、(3)を「容認」とした意見書を可決した自治体は少なくない。また、その文章も酷似しており、世論調査を曲解した意見書の作成にも同アクションの影響がうかがえる。

こうしてみると、質問の意味を理解しやすく回答者に親切なのは今回の調査であり、反対に「分かりにくい」のは前回までの調査だったことは明らかだ。にもかかわらず、別姓制度の導入に対する逆風となる結果になったからといって、調査内容の変更を「恣意的だ」と批判する政治家には、世論の動向を真摯に把握しようとする姿勢に欠ける、と言わざるを得ない。

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