生活必需品が値上げ、超金融緩和の見直し近い?

《 記 者 の 視 点 》

商品棚のイメージ

 2月半ば、次男の結婚、独立を機に都内から埼玉県に引っ越した。三十数年ぶりの引っ越しで、年明けから荷物の整理など準備に追われた。

 優柔不断な性格からか断捨離は得意でない。押し入れからは息子たちの保育園や小学、中学など学校時代のプリントが多数出てきて、こんなの捨てずにいたのか、と自分に呆(あき)れてしまった。家内は頂き物が多く、これまでに何回か処分はしてきたが、それでも相当に荷物がたまっていたようだ。

 引っ越し業者からは段ボールをSサイズ、Mサイズそれぞれ50個ずつ渡され、そんなに使わないだろうと思っていたが、実際はそれでも足りず、引っ越し当日に業者から何箱かを融通してもらい、何とか収まったという次第。

 引っ越しから1カ月半。その段ボールもほぼ片付けが終わったが、そのさなか、30年近く前の通帳が出てきた。普通口座の都市銀行のものでなく、長期信用銀行のものだ。

 ページを開いてめくっていると、少しずつ思い出してきた。日付は平成6年(1994年)10月から始まっており、経済部記者として10年と少しの頃だ。

 バブルがはじけて数年たち、金利が90年を一つのピークに低下傾向にある時だったが、半年複利で利子が増える利付金融債(商品名「ワイド」)は当時人気の金融商品で、筆者もわずかな額だったが投資していたようだ。

 その金融商品の年利率は8・0%となっている。普通預金金利(同時期0・22%)や定期預金金利(同1年定期で1・66%)と単純に比較はできないが、ゼロ金利の超金融緩和状態が長く続いている現在からみれば、ちょっと考えられない数字で、そんな時代もあったんだとの感を改めて強く抱く。

 そんな高金利とはいわないまでも、そろそろ、金利が上昇に向かう転換点に近づいているようだ。金利正常化への出口がもうすぐなのではないか、ということだ。

 その兆しの一つは、昨年後半から相次ぐ生活必需品の値上げだ。カップ麺をはじめ、パン、缶詰、小麦粉、マヨネーズ…。食品ばかりでなく、電気やガス料金などの公共料金もだ。

 原油や穀物など原材料価格が世界的に高騰しているためで、そこに今回はロシアのウクライナ侵攻による影響も加わる。インフレが顕著な米国では米連邦準備制度理事会(FRB)が16日、事実上のゼロ金利を解除し0・25%の利上げに踏み切り、英国、ニュージーランド、韓国、ブラジルなども利上げに動いた。

 日銀は18日の金融政策決定会合で現在の大規模緩和策の維持を決め、黒田東彦総裁は利上げの必要性を否定したが、日米間の金利差拡大から、1ドル=114円台で安定していた円相場は、このところ円安に動き、25日は121円台になっている。

 円安は輸入価格を押し上げ相次ぐ値上げに、さらなる拍車を掛ける恐れがある。FRBは2022年中に0・25%幅の利上げを、今回を含め7回想定しており、円安圧力が強まるのは必至とみられるだけに予断は禁物だ。

 今回の値上げには厳しい状況に置かれたウクライナの人々を思えば我慢もいとわないが、政策は宜(よろ)しきを望みたい。

 経済部長 床井 明男

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