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【海外】NPT離脱は「米イスラエルの思惑にはまる」とするイランメディア

IAEAなどに反発

 西側のメディアではあまり報道されていないが、イラン指導部では核拡散防止条約(NPT)から離脱すべきか否かで活発な議論が展開されている。その直接の契機は、国際原子力機関(IAEA)がイランの核問題を国連安全保障理事会に付託したこと、そして14日に始まったIAEA年次総会にイラン原子力庁のモハマド・エスラミ長官が出席して演説を行う予定だったが、米国が「スナップバック(制裁自動復活)」発動による国連制裁からの免除措置に反対したため、IAEA総会に出席できなかったことだ。

国連本部で開かれた核不拡散条約(NPT)第11回再検討会議において演説する国連のアントニオ・グテーレス事務総長。(2026年4月27日/AFP・時事)

 イラン政府はこれらに反発し、指導部内の強硬派からNPTからの離脱を求める声が高まってきたというわけだ。いわく「イランの政治体制内には、NPT加盟はほとんど保護をもたらさない」と主張する。一方、「離脱すればテヘランに残された外交的・法的優位の一つを放棄することになる」といった慎重論も聞かれる、といった具合だ。

 イラン最高安全保障委員会の事務局長モフセン・レザイ氏は13日、「IAEAによる政治的かつ破壊的な行動はNPTからの離脱へと押しやる」と述べている。その一方、ペゼシュキアン大統領は同日、イランが核兵器を求めているわけではないことを改めて強調し、「もし核兵器を求めていたなら、NPTのメンバーにはならなかっただろう」と主張し、欧米諸国の「イランの核保有疑惑」を一蹴している。ペゼシュキアン氏はNPT離脱論争では慎重派に属する。

「グレーゾーン破壊」

 そのような中で、イランの保守系紙「ホラーサーン」は16日、「NPT離脱が革命的かつ抑止力のある対応のように見えるかもしれないが、別の憂慮すべき状況が浮かび上がる」と書き、「米国とイスラエルはイランの政治的議論を核実験、核ドクトリンの変更、NPTからの即時離脱など、より過激な立場へと意図的に誘導してきている」と、警戒を呼び掛けている。

 同紙によると、「イランが抑止力を達成する前に条約を離脱することは、強さを示すどころかテヘランの意図を露呈させ、敵対勢力に行動の機会を与える可能性がある。イランは公式かつ代償の大きい脱退を行わずに実質的な成果の重要な部分を獲得した。IAEAは以前のアクセス権を失い、テヘランはNPT加盟の法的保護とロシア・中国の政治的支援の恩恵を受け続けている。公式な撤退は、新たな戦略的優位を生み出すことなく、この有用なグレーゾーンを破壊することになる」という論理だ。NPT離脱はイランに利益をもたらさない、イスラエルの目的に沿ったものになるという深読みだ。

核開発の拠点を再建

 ちなみに、ワシントンの核監視機関が分析した新しい衛星画像によると、イランは2024年以降2度攻撃を受けているパルチン軍事複合施設の強固な施設「タレガン2」を急速に再建している。今月13日のヴァントル・テクノロジーズの映像には、テヘラン南東部のタレガン2で大規模な工事が行われており、イランが破壊された地下構造物の上に大きなタープ(布状の屋根)を張り上げている様子が映っている。

 タレガン2はイランの核兵器開発計画と深く結び付いた極秘施設。かつてイランが組織的に進めていたとされる秘密核開発計画「アマド計画」において、核兵器のデザインや研究・テストに使用されていた。米国やイスラエルの情報機関、および軍事専門家から「核兵器開発の核心拠点」と見なされてきた。その再建と防衛強化はイランの「核野望の継続」として警戒されている。

 なお、IAEAのグロッシ事務局長は「IAEAは6月のブシェール原発の査察を除いて、イランの核関連施設への査察は行っていない」と述べ、「イランが最大60%の純度に濃縮したウラン440・9㌔の保管場所を確認できず、イランの4番目の濃縮施設であるイスファハンの状況も依然として特定できない」と述べている。

(小川 敏)

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