単なる事故ではない
先週末からSNSで嫌な情報が流れていた。同志社国際高校の教員が踏切事故で亡くなったというものだった。沖縄県辺野古沖における同高の「平和学習」(沖縄研修旅行)では、基地移設阻止に使われていた抗議船の転覆事故で女子生徒らが亡くなっている。

踏切事故(8月23日発生)については地元紙などが新聞で報じた。警察発表では死亡したのは「団体職員」の男性くらいに留(とど)まっていた。しかし、ユーチューブやX(旧ツイッター)などでは、死亡したのは沖縄での平和学習を引率した教員で遺書もあり、単なる踏切事故ではなかったというのである。同高の所在地は京都府京田辺市で、事故も同市で発生している。
アクセス数稼ぎのフェイクが多いのがSNSだ。「デマ情報」と、注意を促す書き込みもあった。筆者も個人の尊厳に関わる問題で関係者への影響が大きく、よほど確証がなければ踏切事故と平和学習との関係には言及できないと考えていた。
上層部の責任問う声
だが、31日朝、「読売新聞オンライン」を見て「やっぱり」と唸(うな)ってしまった。記事は次のように伝えていた。
同志社国際高校は30日開いた保護者説明会で、西田喜久夫校長の解任、今年度の沖縄研修旅行の中止のほか、平和学習に関わった教員が23日の事故で亡くなり「生徒や保護者だけでなく、教員の心のケアについても努めていく」と説明した。
Xには、保護者説明会の様子を詳しく記述するものもある。それらも含めて判断しても、SNSで流れていた内容は概(おおむ)ね事実だったと考え、今回取り上げることにした。
教員の死亡について、Xでは「この先生の責任がどれ程なのかはわからないが、この学校の校長は、生徒も先生も守れなかったという事実だけが残る」など、生徒・保護者・教員の心のケアについて、同高のみならず運営する学校法人同志社の上層部の責任を問う声が多い。
同志社は25日、臨時理事会(21日)で理事長の八田英二氏が理事長辞任を表明したことと、西田氏の解任(31日付)を決定したことを公表した。27日には教育の中立性や適切性を調査する第三者委員会を新たに設置することも明らかにした。
いずれも同志社のホームページで短く公表しただけで、記者会見は行っていない。対応の遅さ、八田氏が総長に留まること、そして偏向した平和学習を容認していた同志社に左派思想があることなど、SNSは厳しい批判の声で溢(あふ)れている。事実のみを淡々と報じることが多いオールドメディア(新聞・テレビ)とは対照的だ。
抗議船の転覆事故から5カ月以上が経過している。文部科学省が同高の平和学習を教育基本法第14条が定める政治的中立性に反すると認定してから3カ月もたった今、新たな第三者委の設置を決めたことに筆者は違和感を持ったが、その直前に教員が亡くなっていたことを知ると同志社の対応と関連があるように思えてならない。組織防衛意識と内向き志向が強い上層部が、事態は自分たちが考える以上に深刻であることに気付かされたのではないか。だとすれば、自らメスを入れなければならないのは同志社の体質だろう。
あまりにズレた発言
そんな中、インターネットを検索していると、28日に行われた西脇隆俊・京都府知事の記者会見を伝える「京都新聞デジタル」の記事が目に付いた。同高の校長解任などを巡り、同知事は「人事がどう変わろうと責任を持った対応を」と述べた後、平和学習については「萎縮する必要がないのは当然のこと。今回の事件とは関係なく続けてもらえればいい」と述べている。
教員の死亡事故を知っていたかどうかは分からないが、今さら「平和学習を続けて」とはあまりにズレている。私立高校を管轄する自治体の首長ならば、府内の全私立高を対象に平和学習の中立性について徹底調査する、と言うべきだろう。だから、Xには「この知事に投票した京都府民ってヤバいな?」なんてポストされるのだ。
(森田清策)







