
年末の安全保障関連3文書改定に向け、高市政権が非核三原則の見直しに踏み込むかどうかが焦点の一つとなっている。8月6日は広島、9日は長崎に原爆が投下された日であり、政党機関紙でも8月は非核三原則を扱うものが目立った。
立憲民主党の機関紙「立憲民主」8月21日号は、1面で「被爆者の声を政策に 非核三原則を堅持 TPNW再検討会議へオブザーバー参加を」との見出しで取り上げた。記事では、水岡俊一代表が5日に広島市内で開かれた国会議員討論会に参加して「秋の核兵器禁止条約(TPNW)第1回再検討会議へのオブザーバー参加を強く求め」るとともに「非核三原則は唯一の戦争被爆国である日本の国是であり、堅持すると表明」したことを紹介。「核共有の議論を曖昧なまま進めれば、日本が核兵器の運用や使用計画に組み込まれる危険があると警鐘を鳴らしました」とも書かれている。
公明党機関紙「公明新聞」は、7月28日の熊本地震発生以来、ほぼ毎日1面トップで地震関連のニュースを扱っているが、終戦の日の翌日8月16日付は「日本が平和創出の先頭に」の見出しで、竹谷とし子代表らの街頭演説会を報じた。記事によれば、竹谷氏は「唯一の戦争被爆国である日本が非核三原則を見直すことは決して賢明な選択ではない。非核三原則を堅持し、『核兵器は絶対に使用してはならない』という運動の先頭に、日本こそが立っていくべきだ」と訴えた。
日本共産党機関紙「しんぶん赤旗」は8月2日付主張「非核三原則見直し/日本を核戦争に巻き込む愚行」で「非核三原則の変更は、核兵器による力と力の対決を強め、周辺諸国との緊張をかつてなく高めることになります。核廃絶を目指す国際的な取り組みに一層の逆流を持ち込み、唯一の戦争被爆国である日本の立場を失墜させます。断じて許されません」と強調した。
だが主張でも言及しているように、フィンランドでは6月、核兵器の国内持ち込みを可能とする改正法が成立した。従来は持ち込みを全面的に禁じていたが、ウクライナ侵攻を続ける隣国ロシアの脅威が増大していることを踏まえ、加盟する北大西洋条約機構(NATO)の核抑止策に歩調を合わせたものだ。
高市早苗首相は8月9日、長崎市での記者会見で「非核三原則を政策上の方針として堅持している」と説明しつつ、「書きぶりそのものについて予断することは差し控える」と見直しの可能性を排除しなかった。首相はかねて、非核三原則の「持ち込ませず」には懐疑的な立場だ。
高市首相が師と仰ぐ故安倍晋三元首相も、米国の核兵器を共同運用する「ニュークリア・シェアリング(核共有)」の議論を提唱した。日本はこれまでも米国の「核の傘」の提供を受けてきたが、日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増す一方だ。
日本は、核の脅しを繰り返すロシア、2030年までに1000発以上の核弾頭を保有すると予測されている中国、そして核・ミサイル開発を進める北朝鮮に囲まれている。フィンランドのような核政策の転換も、抑止力を高める上では重要な選択肢の一つだと言えよう。
日本は「唯一の戦争被爆国」であり、核兵器の悲惨さを全世界に伝える使命がある。だが被爆国であれば、他国の核攻撃を免れることができるわけではない。核政策を巡る議論をタブー視してはなるまい。







