独東部の空港で発見
ドイツ東部ライプチヒ・ハレ空港の南滑走路で5日未明、空港職員が正体不明のドローンを発見した。ドローンには爆弾が搭載されていたが、起爆装置が故障していたため大惨事を免れた。

連邦検察が重要インフラに対する「重大な攻撃」としてテロ容疑で捜査を開始した。重要インフラ防衛の強化とドローン防衛の責任の一元化を求める声が高まっている。
ドイツのアレクサンダー・ドブリント内相は5日午後、ライプチヒ・ハレ空港内でザクセン州内相と共同記者会見に臨み、「今回のドローン騒動はこれまでの偵察目的や威嚇目的とみられるものではない。新たなレベルの危険を意味する」と指摘。使用された技術や状況から「素人によるものではない」と強調し、「プロレベルのハイブリッドな脅威のシナリオにわれわれは直面している」として外国勢力が関与している可能性を強く示唆した。独週刊誌シュピーゲルは「ドイツ国内のインフラが事実上、戦場化している実態を浮き彫りにしている」と警鐘を鳴らしている。
ウクライナ機に衝突
問題は「爆弾を搭載していた無人機の送り主は誰か」だ。まず、浮かぶのはロシアだ。実際、駐独ウクライナ大使のオレクシー・マケイエフ氏は、独メディアに対し「ロシア以外に誰がいるというのか?」と述べていた。
ロシアとウクライナは戦争中だ。そしてライプチヒ・ハレ空港はドイツ軍や北大西洋条約機構(NATO)同盟国による軍需品の輸送拠点であり、ウクライナのアントノフAn-124「コンドル」輸送機の拠点でもある。周辺状況を見ればロシアの工作説が限りなく濃厚だ。すなわち、「NATO物流網への直撃」というシナリオが浮かび上がる。
独週刊紙「ディー・ツァイト」が10日報じたところによれば、監視カメラの映像には、ドローンがアントノフ機の翼に衝突する様子が捉えられていた。映像にはドローンが翼に当たって跳ね返り、地上に落下する場面が映っており、アントノフ機の翼に残された痕跡も、こうした一連の出来事があったことを裏付けている。なお、同空港の貨物機が別の物体と衝突したが、その物体は現在も見つかっていない。
ドブリント内相は公の場では「外国勢力」と述べるにとどめているが、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、米当局者の話として、このドローンはロシア政府のものとみられると報じた。
また米CNNも、欧州駐留の米国防当局者の話として、米国は当該ドローンがロシアの諜報(ちょうほう)機関に由来するものと結論付けたと伝えている。
ただし、現時点では何も証拠はないし、ロシア側も何のコメントも正式には発表していないが、在ベルリン・ロシア大使館はウェブサイト上で、この事件はウクライナおよび欧州の政治体制における軍事強硬派の利益にのみ資する「急ごしらえの挑発」であると表明した。
また、ドイツ国内で「反ロシア・ヒステリーの新たな波」が起きていると批判し、根拠のない非難が行われていると言い切っている。
航空保安の責任問う
一方、シュピーゲルは「ドイツの航空保安について誰が責任を負うのかをはっきりさせる必要がある。州警察、連邦警察、航空当局、そして連邦軍は、それぞれがいつ介入を許可され、介入が可能であり、また介入を義務付けられているのかを把握しておく必要がある」と強調している。
爆弾搭載ドローンの発見を受け、警察は現在、ライプチヒ・ハレ空港に特殊なレーダーシステムを設置した。このシステムは接近するドローンをかなりの距離から探知し、その飛行経路を追跡することが可能だ。また、ドイツ政府は12日、スパイやテロなど治安上の脅威に対処する情報機関の能力強化などを明記した法案を閣議決定した。
(小川 敏)







