俳優をセクハラ認定
「副首都」創設法が自民・日本維新の会の与党とチームみらい、無所属の賛成で参院で可決、成立した。東京一極集中、南海トラフ地震等の将来の災害などへの対応として、首都機能を分散、移転しておくことは極めて重要だが、では副首都としてどこが手を挙げるかというと、名古屋、大阪、福岡など、災害リスクの高い所ばかりだ。本当に東京が機能不全に陥った時にバックアップできるのか、次の大きな議論が待ち構えている。
さて、週刊誌は相変わらず改正皇室典範への批判、高市早苗首相への難癖など、不毛な話題で紙面を埋めている。読者は食傷気味だ。週刊誌の発行部数下落が止まらない理由でもある。

そんな中、週刊誌が火を付け、SNSで炎上した話題と言えば、フジテレビのドラマ「夫婦別姓刑事」のダブル主演、佐藤二朗(57)と橋本愛(30)の「ハラスメント騒動」だ。最初に週刊文春(7月9日号)が報じて、佐藤を〝昭和のセクハラ親父〟のように仕立て上げたが、ライバル誌の週刊新潮(7月16日号)が佐藤の反論を詳報すると、文春は以後沈黙の頬かむり。佐藤をセクハラ認定したフジと弁護士にも批判が向かい、橋本も女優キャリアに傷が付いた。最後は「もう関わりたくない」と佐藤に突き放されたフジの不手際だけが改めて大きくクローズアップされた格好だ。
「中居騒動」で敏感に
この騒動を脇から見ていた週刊現代(8月3日号)が後発として絡んできたのが「いまフジテレビ内部で起きていること」だ。同誌は今回の騒動を「起こるべくして起きた『泥沼トラブル』」だったと結論付けている。役者同士のトラブルをうまくまとめ、撮影を進めていくのはプロデューサーの役目だが、このドラマの企画を立てたプロデューサーは途中で辞めていた。「局内では有名な敏腕プロデューサーです」「若くして部長職に就き、誰もが認める役員候補と言われていました」というほどの実力者だったらしい。
この人物が〝中途離脱〟したことから、本来作られるはずだった「プロデューサーを中心とする(役者や制作陣との)濃密な人間関係」という「セーフティーネット」ができなかったようだ。役者(マネージャーらも含めて)同士の情報共有がなされず、トラブル発生後の初動も「最悪の一言に尽きた」という状況になってしまったらしい。
フジには以前の「中居騒動」でコンプライアンスに敏感になっていたという事情はある。局内全体が過敏になって、「経営陣は番組制作の現場を軽視して、コンプラばかり気にして」本来、報道やクリエイティブな番組制作の現場に必要な自由闊達(かったつ)な創造空間が確保できていなかった。
その結果どうなったか。「フジ・メディア・ホールディングス(FMH)が発表した26年3月期連結決算を見ると、『営業損失87億円』という巨額の赤字に転落している。通期での営業赤字は、08年の持ち株会社移行後、初めてだ」という。「フジテレビ単体での営業損失は325億円」に上る。
「当然、赤字のシワ寄せは現場に向かう」から、「カネがなければ人は去っていく」道理で、先の敏腕プロデューサーのようにフジを離れた人は制作陣だけでなく女子アナウンサーにも及ぶ。そのさまは「壊滅的」だと同誌はいう。
魅力感じぬ局員増加
フジはどうなるのか。「今のフジには魅力を感じない局員が増えている。その結果、人材流出は止まらず、トラブルが起きるという『悪循環』に陥ってしまった」と同誌は締めくくる。その危機感は局員自身が一番感じているだろう。
同誌は「月9をつくった男、演出家・永山耕三」という「連載ノンフィクション」を載せており、この号で第11話になっている。「月9」というのはフジが月曜日午後9時から放送していたドラマのことだ。「東京ラブストーリー」(1991年)、「ひとつ屋根の下」(93年)、「ロングバケーション」(96年)などが大ヒットし一時代を画した。「テレビドラマが最高に輝いていた、あの頃の話をしよう」というサブタイトルが皮肉にも、また虚(むな)しくも聞こえる。
(岩崎 哲)






