トップオピニオンメディアウォッチ議論深まらぬ党首討論 各党の持ち時間が細分化 多党化に応じたルールを

議論深まらぬ党首討論 各党の持ち時間が細分化 多党化に応じたルールを

党首討論で、国民民主党の玉木雄一郎代表(左)の質問に答弁する高市早苗首相=5月20日午後、国会内
党首討論で、国民民主党の玉木雄一郎代表(左)の質問に答弁する高市早苗首相=5月20日午後、国会内

 高市早苗首相(自民党総裁)と野党6党首による今国会初の党首討論が5月20日に行われた。もっとも、討論時間は45分。各党の持ち時間は細分化され、議論が深まったとは言えない。党首同士の論戦が迫力不足であることは残念だ。

 立憲民主党機関紙「立憲民主」6月19日号は1面で党首討論での水岡俊一代表の発言を掲載。水岡氏は5月の米中首脳会談について「米中が、日本の頭越しに重要な取引を進める可能性は、外交の歴史が警告してきたことである」として「日本は国益に基づく主体的な外交を進めるべきだ。日本の利益を置き去りにされないよう米国に働きかけていくことを政府に求めたい」と述べた。記事では「ロシアによるウクライナ侵略に対しては国際法違反と批判してきた一方で、米国・イスラエルによるイラン攻撃は法的評価を避けている」という水岡氏の政府批判も紹介した。

 一方、自民党機関紙「自由民主」6月2日号は、高市首相の「法的評価を行っている国は非常に少ない。各国とも明らかにすることが国益に資するものではないと考えている節がある」という反論を取り上げた。これは「国際社会の現実に即して国益を最大化することが責任ある外交姿勢となる」という考えに基づくものだ。水岡氏は首相が矛盾していると強調したかったのだろうが、国益を追求する観点から見れば矛盾していないということになる。

 公明党機関紙「公明新聞」も5月21日付1面で党首討論を扱った。記事では竹谷とし子代表が、物価高の影響を受ける貧困家庭の子供について「夏休みで学校給食がなくなると痩(や)せてしまう子どもがいるという悲しい現実がある。今年はさらに深刻な状況になると危惧(きぐ)している」として政府の対応を求めたことを取り上げた。さらに中道改革連合の小川淳也代表が、首相が2026年度補正予算案の編成検討を指示した時期について「指示は遅れたのではないか」と指摘したことにも触れた。ただ持ち時間が短いため、小川氏の追及も中途半端な印象が否めない。

 このほか、国民民主党の玉木雄一郎代表は、給付付き税額控除の給付部分を前倒しする措置を提案。参政党の神谷宗幣代表は東京大の学園祭「五月祭」への爆破予告で自らの講演会などが中止になったことを「言論封殺の危機」として取り上げ、チームみらいの安野貴博党首は人工知能(AI)の重要性を強調した。

 党首討論には、衆参両院のいずれかで10人以上の議員が所属する会派が参加できる。持ち時間は衆参両院を合わせた議員数に応じて配分されるため、衆参で53人の国民民主は12分、衆院で48人の中道は10分が割り当てられた。立民は9分、参政は6分、公明は5分、今回初参加のチームみらいは3分だった。

 英議会をモデルに導入された党首討論は、始まった00年には8回開催された。しかし、近年は回数が減っている。首相が野党党首に質問することも認められているが、今回首相の質問はなかった。これでは予算委員会などの質疑と変わらない。

 与野党は昨年、党首討論を4~6月に毎月開くことを申し合わせたが、自民は今年4月の開催に応じなかった。「自由民主」は党首討論について「野党の『分散』を印象付ける場となっている」としている。その通りだが、討論の場をもっと活用することはできないか。討論時間の拡大や、テーマ別の討論、2日間にわたる開催など改善できる点は少なくない。党首討論は当初、二大政党制を念頭に導入された。多党化が進む現状に応じたルールの変更が求められよう。

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