トップオピニオンメディアウォッチ平和学習「違法」見解に教師「萎縮」さすとNHK偏向の極み

平和学習「違法」見解に教師「萎縮」さすとNHK偏向の極み

NHK放送センター 東館・西館
NHK放送センター 東館・西館

TV離れに開き直り

 放送法が「公平・公正」「不偏不党」を謳(うた)おうが、民放はおろか公共放送(NHK)の中にさえも堂々と偏向報道し、それが「正義」だと思い違いしている番組制作者が少なくない。放送開始から70年以上が経過し視聴者の目が肥えたこと、SNSにおけるテレビ批判などで、彼らの偏向報道はもはや周知の事実で、国民のテレビ離れの原因にもなっている。

 だが、当のテレビマンたちにとって、偏向報道は長年患う〝宿痾(しゅくあ)〟なのか、公平・公正な報道に修正しようという謙虚さは感じられない。むしろ、開き直って独善性を強めているようだ。NHKの看板報道番組「ニュース7」(1日放送)がそれを露(あら)わにしていた。

 テーマは、沖縄・辺野古沖で起きた「抗議船」転覆事故を巡り、文部科学省が先月22日、平和学習を行った同志社国際高校(京都)が政治的中立性を定めている教育基本法に違反するとの見解を示したことだ。

 筆者は、文科省がもっと早くに偏向平和学習を是正させる措置を取っていたら、女子高生と抗議船船長の命が失われることはなかったかもしれない、と残念に思ったのに、NHKは逆で、文科省による違法認定は「異例」で、教育現場に〝萎縮〟をもたらしているというのである。そんな内容を3分40秒の時間を使って放送したのだから、偏向の極みである。

両論伝えてはいるが

 「ニュース7」は、文科省が見解を出した夜にもそれを批判する学者だけを起用して偏向報道を行っていた。そして今回、再び文科省批判を繰り返した。転覆事故発生(3月16日)の後、同高校の平和学習や抗議船の運航団体「ヘリ基地反対協議会」の異常な活動についての検証報道には後ろ向きだったのに、文科省批判となると、急に前のめりになるのだから番組制作者の左翼思想は隠しようがない。テレビ離れが進むわけである。

 報道内容を具体的に見てみよう。まず1日に行われた記者会見の場面を映し出した。会見したのは「主権者教育」や「平和教育」に取り組む教員や研究者たち。

 その一人、東洋大学准教授の林大介は「いろんな考え方があるからこそ学校の中できちんと(政治的テーマを)取り扱っていく。社会全体がそこを考えていくようにしないと先生方が苦しい立場に置かれてしまう」と述べた。

 選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたのだから、高校教育は政治的テーマを避けるべきではないという意味だけなら正しい。しかし、政治的中立性を問われて苦しい立場に置かれるのは偏向教育を行っている教師だ。平和の実現を多角的視点から考えさせる教育を行っている教師は、文科省の見解に萎縮する必要はまったくないのである。

 最後に専門家のコメントを流した。文科省の見解は「妥当」とする学者と教育現場を萎縮させると批判する学者を使い両論併記の形にしたが、やり方が巧妙だった。前者の学習院大学教授・藤田祐介を登場させた後、後者の白梅学園大学学長・小玉重夫が「政治的課題を正面から取り上げることに躊躇(ちゅうちょ)・萎縮があるのが現実。(教育を)後ろに戻すことがないように気をつけることが必要」と訴えた。

公平・公正に程遠い

平和学習を正常化させることを「後ろに戻す」つまり左翼用語で言うところの「反動」と捉えていることが分かる。識者のコメントは、後に流した方が視聴者の印象に残るから、制作者の意図はそこに表れるのである。

 先に先月22日の報道で登場させた識者は文科省批判派の1人だけだったと指摘した。その学者とは愛知工業大学教授・中嶋哲彦。これには放送直後からSNSに批判の書き込みが続いた。日本共産党系の全日本教職員組合(全教)が関わる集会で講演している人物で、左に傾く思想の持ち主とみられたからだ。

 1日放送で文科省を「妥当」とする学者も起用したのは、中嶋起用に批判が強かったことを知り修正したのかもしれない。しかし、公平・公正からは程遠い報道だった。(敬称略)

(森田清策)

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