
保守系3紙のみ社説
2日付読売「優先政策を見極め不安抑えよ」、日経「景気と物価の双方のリスクに目配りせよ」、4日付本紙「楽観できぬ原油高の影響」――。
日銀が発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)について論評を掲載した各紙社説の見出しである。
今回の短観は、米イスラエルによるイラン攻撃開始以降、初めての調査で、緊迫化する中東情勢が企業にどんな影響を与えているか注目されたが、社説掲載は保守系3紙のみ。
調査の回収基準日が3月12日のため、影響はまだ完全には織り込まれてはいないと見て扱わなかったのか、社説掲載は少なかった。というか、経済に関する社説は最近この3紙だけの例が多く、リベラル系紙はあまり見ない。暮らしに直結する問題だけに、もっと取り上げてもよさそうに思うのだが…。
原油高で先行き悪化
さて、3紙の論評に戻る。3紙とも趣旨は、「これまで続いてきた緩やかな景気の回復基調を確認できたものの、先行きの景況感には、イラン情勢が影を落とす不安な内容となった」(読売)、「人件費や原材料費の上昇に原油などの高騰が重なる。企業や家計の心理悪化が内需を鈍らせる不安もある」(日経)などとした内容でほぼ一致したが、結論では若干の違いが出た。
読売は「政府は景気の腰折れを防ぐため、民間と連携して危機管理を徹底していかなければならない」とし、日経は「景気の下支えが大切なのはもちろんだが、単に政府が財政出動に走り、日銀が緩和的な金融政策を続けるようでは物価高に拍車をかけかねない。内外の情勢を見極めつつ、経済活動を円滑に保つための策を着実に打ってほしい」とした。本紙は「原油高の影響を最小限にとどめるように政府は万全を尽くしてほしい」である。
読売は「石油や関連製品の不足について、命に直結する医療分野はもちろんのこと、バスや鉄道、温室ハウスや乳製品の工場など、あらゆる分野で不安が広がっている」として、特に危機管理に重きを置いた。
そのため、原油について「国内での精製強化を含めて代替調達先の拡充を進めることが大切だ」と指摘。社説見出しの通り、「国民の暮らしに直結する分野で優先順位をつけ、政府が必要な石油や関連製品の供給を後押ししていくことが重要だ」と強調した。
確かにその通りなのだが、読売の内容は産業政策がほとんど。論評対象は短観であり、発表した日銀は金融政策の大元締め。金融政策に対する論評も欲しいところだ。
日経・本紙は利上げも
金融政策への論評が欲しいのはそれだけでなく、物価にも関わるからで、この点、日経と本紙は言及した。
今回の短観では、販売や仕入れの価格動向を示す指数が仕入価格を中心に上昇が目立ち、企業が予想する物価見通しも短期を中心にやや上振れした。日経は「物価見通しが強含んでいるのは要注意だ」とし、「日銀は物価の安定にも十分配慮し、必要なら利上げの検討もためらわずに情報を丁寧に発信してほしい」として利上げにも言及した。
本紙も「中東情勢の推移によっては、景況感改善への足かせとなる円安による輸入インフレが高進する恐れもある」として、今月27、28日の金融政策決定会合に言及。日銀が想定する中立金利水準(景気や物価に影響しない金利、1・1~2・5%)内の「小幅な利上げにより為替相場が円高の方向に向かえば、輸入コストの上昇を抑制できる効果も期待できる」と利上げのメリットを指摘した。
本紙はさらに過度な円安進行に対しては、「介入などの断固たる措置が必要なのはもちろんである」とまで記した。
日経は原油相場の高止まりから、「景気減速と物価の上振れが同時に起きるリスクは消えていない」と指摘しながら、「政府の対策は影響の大きい企業や家計に対象を絞るべきだ」とするが、それで十分なのだろうか。
(床井明男)






