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湾行政院長訪日、WBC場外戦で中国に加担する朝日社説

夜の朝日新聞東京本社ビル
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外交行動の制限主張

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本は、残念ながら準々決勝のベネズエラ戦で敗退した。そのWBCでは、場外戦が目を引いた。

 卓栄泰・台湾行政院長のWBC観戦を目的とした訪日に、中国が激しく抗議した。これを社説に取り上げたのは、朝日だけ。3月10日付社説「台湾の要人来日 妥当な判断だったのか」で朝日は、「行政院長の来日はきわめて異例だ。その判断には首をかしげざるを得ない」と書いた。

 同社説は「中国に挑発と受け止められかねない行動は控えるほうが賢明だろう」と総括した。論拠として朝日は日中共同声明を掲げ「1972年の日中国交正常化にともない日本は台湾と断交した。そのときの日中共同声明で日本は『台湾が中国の領土の一部である』とする中国の立場を『十分理解し、尊重する』とした」というのだ。

 だが第三国の反発を理由に外交行動を制限するというのは、主権の一部を構成する外交が他国に移るという問題が生じることになる。

 それにそもそも、日本の公式の立場は「台湾が中国の領土の不可分の一部である」という主張を承認しているわけではない。日本政府が共同声明で確認したのは、「台湾が中国の領土の不可分の一部である」とする中国の立場を「十分理解し、尊重」するというものだ。米中共同声明でも「中国はただ一つであり、台湾は中国の一部分である」という中国の立場について米国は「認識する」としているだけで承認しているわけではない。

 こうした朝日の社説は、民主国家間の絆にくさびを打ち込みたい中国を利するだけだ。

「大国」の矜持が皆無

 その中国の今回の一件に対する反発が尋常ではなかった。

 3月9日、中国国務院台湾事務弁公室の朱鳳蓮報道官は「民進党当局は頑(かたく)なに『台湾独立』という分裂的立場を堅持し、手段を選ばず『外国を頼って独立を図る』(倚外謀独)行為は、紛れもない『両岸の平和の破壊者』『台湾海峡危機の製造者』だ。民進党当局の指導者たちは、いわゆる『私的な日程』を名目に、実際には『独立』を謀り、挑発する行為を行ったのであり、それらは鶏が鳴き犬が盗むような恥ずべき行為だ」と述べた上で日本に対し「『台湾独立』の分裂勢力に、重大な誤った信号を送るものだ。日本は台湾問題における愚弄(ぐろう)と妄動を停止しなければならない!」と叱責した。

 また中国の王毅外相は8日、こう言い放った。

 「台湾問題は中国の内政なのに、日本に干渉する資格があるのか。すでに発展し強大化した中国と14億の中国人民は、いかなる者が植民地主義を擁護し、侵略を正当化しても決して許さない」

 今回のWBCに台湾チームは出場を果たしたが、中国は出場できなかった。だが「台湾は中国の一部であり、中台は一つ」と言いながら中国は、台湾が世界の舞台で活躍することを嫌い、その足を引っ張ろうとする。

 これでは単なる支配欲の裏返しにすぎず、「大国」の矜持(きょうじ)のかけらもない。本当に「中台は一つ」と信じているのであれば、そこには中国にとって一体不可分のはずの台湾への誇りが生まれていないといけない。

 しかし、あるのは自分たちの支配が及ばないことに対するいら立ちと恐怖心だけだ。

野心伴う外圧に呼応

 こうした野心を伴う外圧に応じようとする朝日、個人の休日の過ごし方をつるし上げ、野球観戦という枝葉末節を針小棒大にあおり立てるメディアに対して厳しい目を向けていかないといけない。

 国民が求めているのは、相手の不当な要求におびえて自らを縛り、自己規制に動くのではなく、不当な圧力を跳ね返し、守るべきものを守る主権国家としての意志だ。

(池永達夫)

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